デジタルデータを使いこなす!カイバラボが推進するPPIH流DXとは

取材・文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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今やグループ全体売上高で約1.8兆円、約700店の店舗網を有するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(東京都/吉田直樹社長CEO:以下、PPIH)。現在、同社で「“小売の未来”をつくる新たなデジタルソリューションを創出する」をミッションとしているのがグループ会社のカイバラボ(東京都/森谷健史社長)だ。PPIHグループはいかにデジタル・データ活用を進めようとしているのか、具体的な取り組みを取材した。

アプリのDL数は1100万人超え

 PPIHは2021年7月、事業会社マシュマロをカイバラボに商号変更した。マシュマロは19年10月に設立。グループ各社のデジタル部門の組織体制の構築とデジタル推進を図ってきた。ユニークな社名は「既存の小売業の枠組みにとらわれず、やわらかいマシュマロのようにさまざまな知見やノウハウを吸収し、変化し、成長する」という想いからつけられた。

 これをさらに発展させ、PPIHグループの全体戦略と連動しながら、「未来の小売はどうあるべきか」「その未来を実現するために何をするべきか」という視座に立ち、小売業界の未来に本質的に必要なデジタルソリューションを発掘・開発し、実証実験を推進する組織としてカイバラボを始動。以降、外部パートナーとも積極的に連携しながら、戦略実行のための実験や施策の立案、主導を行っている。社名の「カイバラボ」には、お客が商品を買い求める「買い場」に、頭脳の中枢器官である「海馬」の2つの意味が込められている。

 カイバラボには、デジタル・データの活用により実現をめざす大きく2つのミッションがある。1つは既存事業の課題解決や強化に向けたデジタルソリューションの発掘・開発、もう1つは新しい価値の創造だ。

PPIHの「カイバラボ」のオフィス
カイバラボは21年7月、小売業界の未来に本質的に必要なデジタルソリューションを発掘・開発し、実証実験を推進する組織として始動した

 これらを実現するためにPPIHが武器の1つとするのが、

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取材・文

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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