クスリのアオキがSMを転換し「杏林堂」と競争!強みと課題とは
クスリのアオキホールディングス(石川県/青木宏憲社長:以下、クスリのアオキ)によるローカル食品スーパー(SM)の買収・業態転換の動きが依然続いている。今年に入ってからも、3月に愛媛県、岐阜県、静岡県のSMやホームセンター企業を傘下に収め、生鮮強化型のフード&ドラッグ業態への転換が進む。本稿では、それらのうち静岡県富士宮市を地盤とするスーパーよどばしから譲受した店舗を業態転換した「クスリのアオキ田中町店」(以下、田中町店)を訪れ、売場や商品政策(MD)を分析した。
(調査日:2024年4月7~8日)※文中の価格はすべて本体価格
地場SMを承継し、生鮮フルラインで出店
富士宮市は約12万5000人の人口を抱える静岡県東部の主要都市の1つである。市内中心部にあるJ R身延線「富士宮」駅から南へ500mほど離れた場所にあるのが、今回調査した田中町店だ。

所在地 :静岡県富士宮市田中町69-1
売場面積:約300坪(歩測)
オープン日: 2024年2月28日
営業時間:9:00~22:00
競合店: ウエルシア富士宮田中町店(隣接)、杏林堂富士宮浅間店(約500m)、イオン薬局イオンスタイル富士宮(約600m)
同店は今年2月28日、クスリのアオキが承継した「よどばしデイズ田中町店」をリニューアル・業態転換して開業した。周辺には戸建て中心の住宅街が広がり、通りを挟んで向かい側には「ウエルシア富士宮田中町店」、北西約500mには「杏林堂ドラッグストア富士宮浅間店」などのドラッグストア(DgS)が点在。さらに地域いちばんの集客力を誇る「イオンモール富士宮」には「イオン薬局イオンスタイル富士宮」が出店している。
田中町店の売場面積は約300坪(歩測)で、昨今クスリのアオキが標準サイズとする400坪タイプに比べてややコンパクトだ。旧店時代から入居しているコインランドリーや理髪店のテナントが引き続き営業していることもあり、クスリのアオキが理想とするスペースは捻出できなかったのかもしれない。そのためか、重点部門であるはずの酒類の扱いはなく、また飲料もケース売りは行っていない。ただし、各テナントは今夏までに閉店する模様で、再改装される可能性もありそうだ。
他方、生鮮は総菜を含めてフルラインで展開。売場スペース構成比は生鮮が33%、日配が14%とこちらは標準的な比率である。ただ、生鮮のうち青果は43%、鮮魚33%、精肉は12%と、鮮魚の比率が高い一方で集客装置であるはずの精肉がかなり控えめだ。生鮮売場のバランスについてもこれから修正が加わるかもしれない。

鮮魚寿司と刺身が差別化部門に
まずは生鮮売場から詳しく見ていこう。
青果は他部門に比べて
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