原信、圧巻の総菜MDを分析、圧倒的な品揃えとインストア製造を両立できる理由
原信(新潟県/丸山三行社長)といえば、緻密なビジュアルマーチャンダイジング(VMD)をはじめとする売場づくりのレベルの高さや、部門の壁を越えた商品開発力の強さで知られる、リージョナルチェーンの代表格的存在である。そんな同社の近年の商品政策(MD)において、最も注目すべき部門として挙げられるのが総菜だ。最新店舗を訪れ、「原信の総菜MD」の強さの根源に迫った。
「サラダ」に始まる圧倒的な品揃え
原信の最新の総菜MDを調査・分析するために今回訪れたのは、昨年10月、新潟県長岡市にスクラップ&ビルドで開業した「原信古正寺(こしょうじ) 店」(以下、古正寺店)だ。JR「長岡」駅から西へ約3㎞離れた商業集積エリアに位置し、売場面積は約2200㎡、約1万6000SKUを展開。最新MDを全面導入し、初年度年商目標として22~23億円を掲げる最新店舗である。
同店の総菜売場でまず目に留まったのが、サラダ類の品揃えの豊富さだ。調理用のカット野菜や、ミックスサラダなど定番メニューに加え、ナッツや果物、ローストビーフ、魚介類をトッピングしたサラダ、さらには根菜を焼き上げた「グリルサラダ」、旬のかぼちゃの甘さを生かした「デザートサラダ」などが一堂に会している。
その光景に圧倒されつつも冷静に考えると、サラダだけでなぜここまでの品揃えが必要かという疑問が生じる。これについては売場や商品パッケージで「365×3 salad life」を謳っているように、365日・3食で野菜を取り入れて健康的な食生活を送ろう・送ってほしいという原信のお客に対するメッセージが根底にあるようだ。地域の食生活と健康を支えるという、SMに求められる役割を体現している。
このほか、店内調理の魚総菜と肉総菜の充実ぶりも光る。いずれも主通路上の平台を中心に集積されており、総菜部門における核カテゴリーとなっているようだ。このうち魚総菜では地魚を含め旬の新鮮な魚介類の煮物、焼き物、揚げ物、さらには燻製までカバー。肉総菜は定番の唐揚げや焼き鳥などが所狭しと並び、新潟県産の銘柄鶏「越のハーブ鶏」など素材にこだわった商品も差し込まれている。原料に踏み込んだ生鮮総菜の開発体制が強固であることが、売場からも見て取れる。

もう1つ注目したいのが、鉄板焼のコーナーだ。ここでは「焼きそば」「お好み焼き」「だし巻き卵」といった他社でもよく見られるメニューだけでなく、「ライスピザ」「焼肉ビビンバ」「こんがり焼いたヤンニョムチキン」など、鉄板との関連を一瞬考えてしまうようなユニークな商品が並んでいるのもおもしろい。

製造、販売戦略に絶妙な“力加減”
ここであらためて考えてみたいのが、なぜ原信の総菜はここまで品揃え・アイテム数を拡充できているのかという点だ。
店長必読!売場づくりと販促の教科書 の新着記事
-
2025/05/14
ロピアVSトライアルVSカネスエ ディスカウンターの進出続く浜松エリアを徹底調査! -
2025/05/14
「クルベ」が埼玉県に初進出!賑わう最新3号店を徹底調査 -
2025/03/31
ヨークパークの 前哨戦 ?ヨークベニマル古河店のMDを徹底調査 -
2025/03/31
バローHD「D・S戦略」の集大成! 注目旗艦店「多治見店」の売場を解剖 -
2025/02/27
2025年夏、総菜の売場づくりを徹底解説! -
2025/02/27
精肉25年夏の販売政策提案!インフレ「焼肉離れ」を乗り越える方法とは何か
この連載の一覧はこちら [137記事]

原信ナルスの記事ランキング
- 2025-03-26原信の新店「阿賀野店」 最新MD投入した総菜売場をレポート!
- 2025-04-19原信の最新店「阿賀野店」の売場づくりとMDを徹底レポ―ト!
- 2015-09-01TQM活動をベースに収益性を高めチェーンストアのご利益を追求=アクシアル 原 和彦 社長
- 2019-03-25原信、「エクスプレスマーケット」2号店を長岡市に出店、65歳以上は木曜日5%引き
- 2021-11-29PB新商品を積極投入中! 原信・ナルスの日用雑貨が好調の理由
- 2023-02-24ネットスーパーシステムも内製化、IT子会社軸に経営戦略をデジタルで支える!
- 2023-12-09売上・利益ともに絶好調のアクシアルが仕掛ける、24年の商品政策とは
- 2023-12-19原信・ナルスの丸山三行社長が語る 個店の利益確保進める取り組みとは
- 2024-03-27原信・ナルスの社会課題起点型PBハナウェル、始動から1年の成果とねらいとは
- 2025-03-10ストアオブザイヤー2025、11~15位を発表! 東急ストア、原信などランクイン
関連記事ランキング
- 2025-05-14「クルベ」が埼玉県に初進出!賑わう最新3号店を徹底調査
- 2025-05-12オーケー2号店VS駅近立地のライフ 2大勢力の激突が生んだ意外な結果とは?
- 2025-05-13ダイエーの戦略的小型フォーマット「イオンフードスタイル墨田横川店」の売場を解説!
- 2025-04-22見た目も味もインパクト大! 現役主婦が試したロピアの実力派総菜5選
- 2025-05-08オーケー進出で急変する競争環境……関西小売市場は誰が、どう変わるのか?
- 2025-05-14ロピアVSトライアルVSカネスエ ディスカウンターの進出続く浜松エリアを徹底調査!
- 2025-04-21リニューアルで売場拡大&アイテムも拡充!「いなげや川崎中野島店」の総菜をレポート!
- 2025-05-12万代とロピアが“共存”!? 西宮・今津エリアに見るポジショニング戦略の重要性
- 2025-05-14ヤオコー、25年3月期も2ケタ増収増益で絶好調! HD体制移行後の成長戦略は?
- 2025-05-13関西在住の専門家が解説! 激変する環境を勝ち抜く食品スーパーの条件
関連キーワードの記事を探す
ヤオコー、25年3月期も2ケタ増収増益で絶好調! HD体制移行後の成長戦略は?
ダイエーの戦略的小型フォーマット「イオンフードスタイル墨田横川店」の売場を解説!
ロピアVSトライアルVSカネスエ ディスカウンターの進出続く浜松エリアを徹底調査!
バローHD「D・S戦略」の集大成! 注目旗艦店「多治見店」の売場を解剖
リニューアルで売場拡大&アイテムも拡充!「いなげや川崎中野島店」の総菜をレポート!
カゴメとロック・フィールドが新たな業務提携 「野菜」を切り口に2社が連携を深める理由