地域で話題!ローカルスーパーが14社登場、“大手にはできない”強さの秘密とは?

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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ローカルスーパー大

地域に支持されるローカルSMの強みとは

 新型コロナウイルスの感染拡大による特需で、スーパーマーケット(SM)業界は好調だ。2020年度は過去最高業績を達成した企業も少なくなく、21年度ではその反動で数値が下がっているところが多いものの、それでもコロナ前の19年度の実績は上回っており、業界全体としてはまだ追い風が吹いている状況だ。

 しかし、SM業界には以前からさまざまな課題が存在する。オーバーストア化の進行、ドラッグストアやECなどを含む業態の垣根を越えた競争の激化、人口減少・高齢化による食糧需要の減少、物流費の高騰、人手不足……。コロナ禍で業績が上向いているとはいえ、こうした課題が完全に解消されたわけではない。全国規模の大手やリージョナルチェーンでもこのような状況に苦心するなか、人口減少や過疎化が都心部より激しいエリアで事業を展開するローカルSMの状況はより深刻だ。

ローカルスーパー

 ローカルSM──。厳密には、1つの商勢圏内で11店舗以上を展開する「ローカルチェーン」の定義に沿って展開するSMチェーンととらえるべきだが、そうした原則には必ずしもあてはまらない企業が多い。そのため、本特集では特定の地域で数店舗から数十店舗を展開し、年間売上高が数百億円程度で、かつ地域に根差した強みを持つSMを中心に取材・調査した。

 大手より厳しい事業環境に晒されながらも、消費者の支持を獲得しているローカルSMは全国各地に存在する。こうしたローカルSMの強さの源泉は、徹底した地域密着をはじめとする、効率を重視する大手にはできない、あるいはやり切れない施策を愚直に実行し切る点にある。では、各社は具体的にどのような戦略を採っているのだろうか。

 ひとくちに地域密着といってもその内容は企業によってさまざまだが、ほとんどのローカルSMが取り組んでいるのは、その地域ならではの食材・商品を充実させることだ。地元産の生鮮食品・地元メーカーの商品の充実や、地域産品を活用した商品開発、地元飲食店とのコラボなどを行うことで、「なじみの味を大切にし、地域に寄り添う店舗」であることを訴求することができる。

 もちろん、大手チェーンでも地場野菜や地域産品を売場に並べている企業は少なくない。しかし、国内外で多くの小売企業のコンサルティングを行う鈴木哲男氏は、「ローカルSMは地域密着の“本気度”が違う」と指摘する。たとえば、流通量が少なく認知度は低いが、高品質でおいしい商品をひたすら自分の足で探し求めるなど、地元で生まれ育った地元愛の強い従業員が、地域のお客、ひいては地域全体のことを本気で考え、店舗を運営する──。こうした従業員の意識の高さが徹底した地域密着につながっているのだ。

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記事執筆者

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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