地域で話題!ローカルスーパーが14社登場、“大手にはできない”強さの秘密とは?

松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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「個店経営」で地域ニーズに柔軟に対応

 地域のニーズを汲み取るうえで効果的な施策の1つが、本部主導ではなく個々の店舗に大きな裁量を与える「個店経営」である。この戦略を採っている企業としては、東京23区を中心にSMを展開するオオゼキ(東京都/石原坂寿美江会長兼社長)や、バローホールディングス(岐阜県/田代正美会長兼社長)傘下のタチヤ(愛知県/坂本勝社長)などが挙げられる。タチヤでは、各店舗の仕入れ担当者が市場へ出向き、商品を買い付け、売場づくりを行っているのが最大の特徴だ。そのため、店舗ごとに商品の品揃えや価格、量目、売場づくりは異なる。タチヤには商品や売場づくりにおける統一されたマニュアルが存在せず、商圏ニーズに柔軟に対応して売上を最大化するための方法を自ら考える「商売人」が育つ環境があることが、同社の強みとなっている。また、独自の商品開発や、他社の売場には並ばない商品の仕入れに注力するローカルSMは少なくない。地域商品に限らず、「その店にしかない商品」の品揃えを充実させることも他社との差別化に効果的だ。

 山梨県を本拠とするいちやまマート(三科雅嗣社長)は、20年ほど前から健康志向型のプライベートブランド(PB)「美味安心」の開発に注力。自社店舗での販売のほか、全国各地の65社のSMへの外販も行うなど、PBの域を超えた存在になりつつある。

 東京都・神奈川県でSM20店舗を運営する文化堂(東京都/山本敏介社長)は、近年ニーズが拡大しつつある冷凍食品で、多くのSMが取り扱う売れ筋のナショナルブランドよりも、知名度は高くないものの高品質で価格もリーズナブルな商品の調達に注力し、独自の商品構成を実現している。このような施策が奏功し、同社は競争が激しい都心部を事業エリアとしながらも7期連続で増収・営業増益を達成した。

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