ニューノーマルの魚ニーズを捉える!「イオンスタイル川口」鮮魚売場の3つの機能とは

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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「ホビー(趣味)としての鮮魚」に応える

 コロナ禍で大きく伸びた水産の中でも、壁面で展開する丸魚の伸長率が最も高いそうです。その背景には「ホビー(趣味)としての鮮魚」志向の高まりがあると、イオンリテール水産商品部の松本金蔵部長は指摘します。ホビーとしての鮮魚とは、手間をかけて魚料理にチャレンジしてみよう、丸魚を自分で捌いてみようといった志向で、この手料理ニーズには男性が多く含まれることも特徴です。

 コロナ禍で時間的なゆとりが増えただけでなく、YouTubeなどで魚を捌く動画も増え、捌き方を確認してトライしやすい環境になってきました。料理とSNSの相性はそもそも高く、やってみた成果をまたSNSで発信するという拡大スパイラルが、ホビー鮮魚の裾野を広げているようです。

 丸魚の提案として象徴的な取り組みのひとつが、「福島鮮魚便」の展開です。JF福島魚連や福島県との協業で18年6月にスタートしたもので、イオンスタイル川口など14店で常設コーナー化、ほかにも毎月、日数を絞って展開するケースが4店舗あります(21年6月時点)。

 福島近海の漁業は、原発事故の後まだ本格的な操業に至ってはいません。しかし試験操業の段階から、イオンリテールのコーナー常設店では毎日品揃えしてきました。夏季など水揚げが減少する時期は、解凍品なども駆使してコーナーを維持しています。売場には専属の販売員が常駐して接客にあたり、鮮魚の品質についてはイオンリテール独自の検査も継続しています。

 福島鮮魚便の魅力が、その豊富な魚種のバラエティであることは間違いありません。また値頃感も圧倒的です。6月からは店頭での販売から一歩踏み出して、ネットスーパー専用品「福島鮮魚便おさかなセット」の展開も始まりました。

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