ヤオコー、サミット、ベルク、マミーの総菜調査で判明!3つの新潮流とは

㈱KTMプラニングR代表取締役:海蔵寺りかこ (代表)
ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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首都圏で高い集客力と競争力を誇る食品スーパー(SM)を展開する、ヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)、サミット(東京都/服部哲也社長)、マミーマート(埼玉県/岩崎裕文社長)、ベルク(埼玉県/原島一誠社長)。各社とも総菜を重要な集客部門としてとらえ、商品政策(MD)や開発体制、売場づくりを進化させ続けている。その進化の中身とは具体的にどのようなもので、何をめざしているのか。4社の注目店をめぐり、売場や商品から徹底的に考察してみた。

ヤオコー
部門をまたいだ 「即食ゾーニング」に挑戦

ヤオコー松戸上本郷店

所在地 千葉県松戸市上本郷4005-1
営業時間 9:00~21:45

 ヤオコーの総菜は競合他社とは一線を画した独自性の高い商品開発を継続しており、同社にとっても総菜は来店動機そのものを生み出す重要な集客部門となっている。そしてここに来て、同社は総菜進化のスピードを一挙に上げている。今回調査のために訪れたのは、その現場である「松戸上本郷店」(千葉県松戸市)だ。

 同店は2023年11月に開業。来期(25年3月期)に「MDの進化型モデル」と位置づける旗艦店の出店を控えるなか、その下地となる“チャレンジ店舗”としてオープンした、ヤオコーの戦略店の1つである。

 まず売場全体での大きな特徴が、「素材(生鮮)ゾーン」と「即食ゾーン」に明確に区分している点だ。入口から青果→精肉→鮮魚と素材ゾーンを形成。これまで旗艦店など一部店舗で導入してきた、生鮮と総菜を一体化させたダブルコンコース型のレイアウトから大きく転換した。生鮮ゾーンには冷凍のリーチインケースも設置し、精肉、鮮魚の冷凍素材を集積。さらに加工肉は精肉売場から分離させて、総菜売場に隣接して洋日配とゾーン展開するなど、徹底的に「素材」と「即食」を区分している。

 即食ゾーンに目を向けると、和洋日配は既存店と比較して売場スペースはやや縮小、そのぶん総菜は後述する新たなラインアップを含めて存在感が大きくなっている。また総菜に隣接する酒類売場では、総菜の売場に面するエンド部分に冷ケースを設置し、飲みきりサイズのワインや缶チューハイなどを展開するなど、酒類も部分的に「即食ゾーニング」の一端を担っている。

 このように松戸上本郷店では「総菜」という部門を超越し、部門をまたいだ

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㈱KTMプラニングR代表取締役

海蔵寺りかこ / KTMプラニングR 代表

食品コンサルタント
1級色彩コーディネーター、カラーデザイナー、UCアドバイザー

株式会社KTMプラニングR代表。大阪府吹田市出身、太陽の塔を眺めながらバレーボールに明け暮れる少女時代を過ごす。ダイヤモンド・チェーンストア誌連載「販促の強化書」、店舗調査解説などを執筆。JA全農にてさまざまな国産農畜産物のSPA化と向き合う。惣菜メーカー、食品スーパー、データ分析等の各企業のサポートや各種セミナーも開催している。

KTMプラニングRホームページ

記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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