最新設備と手法導入、店内加工に負けないPC総菜をつくる平和堂の最新戦略

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平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)は、プロセスセンター(PC)を活用した総菜の品揃えを広げている。部門の人時や作業を見直して生産性を向上する一方、素材、製法にもこだわり、インストア加工に負けないおいしさを追求。これらを通じて将来のメーン顧客層に見据える30~40代からの支持獲得をめざしている。

味や素材を厳選し付加価値をつける

 平和堂は、滋賀、大阪、愛知など近畿、東海、北陸地方で計156店舗を展開する。事業エリアでは有力食品スーパー(SM)だけでなく、近年は食品の扱いが大きいドラッグストア、またディスカウントストアといった価格訴求型業態が台頭し、業態の枠を超えて店舗間の競争が激化している。

 そんな中、平和堂はおいしさや独自性を訴求し、自社の特徴を打ち出せる分野として総菜部門の充実を図っている。実際、同社の食品のうち総菜部門の売上高構成比は年々、伸長傾向にあり、2024年2月期は1月20日までの累計実績では13.5%の水準で推移している。

 カテゴリー別の売上高構成比としては弁当、丼などの「米飯」が最も高く29%。次いで高いのがフライ、とんかつ、コロッケ、中華などの「温総菜」で、28.5%。以下「冷総菜」18.5%、「寿司」16%、「ベーカリー」7%、その他1%と続く。

石井雅樹課長
生鮮食品事業部デリカ課の石井雅樹課長

 コロナ禍を経て、総菜に関する消費者の嗜好は多様化した。さらに部門を取り巻く環境も厳しさが増している。生鮮食品事業部デリカ課の石井雅樹課長は「かつて総菜は味を追求するため、手間をかけることが重視されていたが、今は人材不足で難しい。原材料も高騰しており、現状の価格を維持できない。従来のやり方では売場をつくることが難しくなっているのが現状だ」と話す。

 そのため平和堂では値段をやみくもに下げるのではなく、味や素材を厳選し付加価値をつけた総菜開発をめざしている。そのために活用しているのが、23年5月から稼働している「平和堂多賀デリカセンター」(滋賀県多賀町:以下、新デリカセンター)だ。

アウトパックでもインストアに負けない味を

 新デリカセンターにおいて平和堂がまずアウトパック化に着手したのが弁当だ。

 弁当は従来インストア加工が中心だったが、効率的な部門運営をめざして一部商品を

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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