平和堂、29億円投じ「ビバシティ彦根」改装

取材・文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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平和堂(滋賀県/平松正嗣社長)は2023年10月27日、本部横の「ビバシティ彦根」(滋賀県彦根市)を全館リニューアルオープン。増床を伴わない改装としては過去最高となる29億円を投じ、近年、蓄積してきた店づくりの要素を集めた。さらに新たな取り組みにもチャレンジしてフラッグシップ店の強化を図った。

改装店はいずれも好調に推移

 ビバシティ彦根のオープンは1996年4月。当時は平和堂が大型店「アル・プラザ」を拡大していた時期で、その中フラッグシップ店として開業。滋賀県最大となる商業施設は話題を集め、これまで強い支持を獲得してきた。

 以来27年あまりが経過、施設老朽化のほか、同社の競争環境も大きく様変わりした。

 滋賀県をはじめ商勢圏の各地に競合する大型店ができたほか、近年はディスカウントストア(DS)、また食品の扱いが大きいドラッグストア(DgS)といった価格訴求型の業態も増えている。

 こうした状況の中、平和堂では競争力を強化するため、計画的に店舗網の活性化を進めてきた。10年前から、まず各店の食品売場の改装を順次スタート、19年度からは毎年20店以上をテコ入れするなど動きを加速した。

ビバシティ彦根外観
ビバシティ彦根外観

 加えて衣料品、住居関連品も従来の「平場」を見直し、専門店のような売場づくりを行う「ショップ化」を進めた。19年10月にはその成果を取り入れ、富山県富山市の大規模商業施設「フューチャーシティ ファボーレ」を改装オープンした。同店を大幅に増床、投資額は80億円を超えた。

平和堂 平松正嗣社長
平和堂 平松正嗣社長

 直近では23年4月、滋賀県草津市の「アル・プラザ草津」をリニューアルオープン。ビバシティ彦根と並ぶ売上高を誇る繁盛店で、直営売場を刷新したほか、テナントには「ロフト」を誘致するなど、若い年齢層の取り込みも図った。

 改装後、アル・プラザ草津を含め、どの店舗も好調に推移、平和堂では手応えを得る。これら一連の活性化策で構築した店づくりのノウハウを集積、満を持して開業したのが、今回のビバシティ彦根である。投資額は、増床したファボーレを除き、29億円と過去最高だ。

 記者会見に臨んだ平松社長は、

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取材・文

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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