独自化と低価格の両面狙う!食品小売業の2024 年の商品政策総まとめ
SM各社は「独自化の深耕」と「価格政策の強化」を重視
食品スーパー(SM)、総合スーパー(GMS)ともにコロナ特需の反動で売上高が落ち込んだ22年から一転、23年は人流の回復などの要因により多くのSMは増収となった。一方で各社が警戒するのが、昨今のコストプッシュ型インフレによる、消費者の節約志向のさらなる高まりだ。食品小売業のバイヤーに対して、本特集でアンケート調査(「バイヤー60人が回答!23年の商品政策と24年の戦略、注目キーワード」参照)を行ったところ、8割以上のバイヤーが消費者の低価格志向について「強まっている」と回答している。
また、業態を超えた価格競争も激化している。同アンケート調査で「SM各社が競合として意識している事業者」について問うたところ、昨今食品強化の姿勢を強くする「ドラッグストア(DgS)」が昨年より10 ポイント以上伸ばし、2位となった。
このように外部環境が大きく変動するなか、各SMはどのような商品政策(MD)を打ち出し、対策を練っているのだろうか。アンケート調査によると、各社のバイヤーは商品政策の方針として55%が「付加価値の提供」、36%が「価格訴求」を挙げている。本特集で取材したSM各社でも、消費者の節約志向の高まりに備え「価格政策の強化」をして来客数の増加に努めるほか、高付加価値商品を開発して「独自化の深耕」をすることで、粗利益を確保するという戦略がほぼ共通してみられた。
その好例の1つが、アクシアルリテイリング(新潟県:以下、アクシアル)傘下のSM、原信(同)とナルス(同)だ。原信・ナルスは近年、EDLP(エブリデー・ロープライス)をいっそう強化している。物流の効率化や、アクシアル傘下のSMであるフレッセイ(群馬県/早川仁社長)と共同での商品の大量仕入れなどに取り組むことで、値ごろ感のある商品価格を実現。また、原価が上昇するなかでもプライベートブランド(PB)のうち購買頻度の高い商品については売価を据え置き「安い」イメージを醸成し、集客につなげている。
一方、高付加価値商品の開発にも注力する。健康を打ち出した総菜・簡便商品や、ローストビーフ寿司といった高価格帯の米飯商品などはいずれも好調で粗利益の確保につながった。
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