ベルクの新フォーマット、「クルべ」徹底分析!他のディスカウントSM との決定的な違いとは

解説:アイダスグループ:鈴木國朗
構成:リテイルライター:太田美和子
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関東の1都6県に130店舗超のスーパーマーケット(SM)を展開するベルク(埼玉県/原島一誠代表)は7月29日、ディスカウント型の新フォーマット「クルベ」の1号店をオープンした。収益性の高さに定評がある同社によるディスカウントフォーマットとはどのような店なのか。SMの経営コンサルティングに実績多数のアイダスグループ代表取締役鈴木國朗氏が解説する。

ドミナントの一角を新フォーマットに転換

 ベルクが2023年7月にオープンした「クルベ江木店」は、JR「高崎」駅から直線距離で約1.1kmの場所にある。「高崎」駅周辺はベルクのドミナントエリアであり、同駅を囲むように店舗展開している。今回オープンしたクルベ江木店は、既存店の一つである「ベルク江木店」を1カ月ほどかけてリニューアルし、新たにオープンしたかたちだ。

クルベ江木店
クルベ江木店
●開店日: 2023年7月29日※「ベルク江木店」改装オープン
●営業時間: 10:00~20:00
●所在地: 群馬県高崎市江木町75
●駐車台数: 約200台

 「ベルク」を逆さ読みした「クルベ(CLBE)」の店名には、「ベルクの限界に挑戦する(Challenging the limits of Belc)」という意味が込められているという。気になるのは、ベルクがなぜ、このような新フォーマットの出店に至ったのかという点だ。

 近年、優良チェーンによるディスカウント型新フォーマットの開発が相次いでいる。たとえば、20年12月にイオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループが「パレッテ」を、21年8月にはヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)が「フーコット」を、さらに22年5月にはマミーマート(埼玉県/岩崎裕文社長)が「マミープラス」をオープンしている。

 こうした新フォーマットは、既存店以上の競争力を発揮しない限り、競争優位に立つのは難しい。各社とも、近隣のSM、またはディスカウントSM同士の競争に打ち勝つノウハウを構築しようとしている段階にあると言っていい。そうした中、ベルクはどのようなディスカウントフォーマットで競争優位を獲得しようとしているのか。それを見極めるため、オープンから1週間ほどが経った平日の午後に調査を行った。

 まず、売場をひととおり見て回った第一印象は、一般的に想像されるディスカウントSMとは雰囲気が異なっていることだ。ディスカウントSMにありがちなムダをそぎ落とした無味乾燥なイメージはそこにはない。たとえば、屋上駐車場から1階の売場に向かう階段の踊り場の壁面には、飛行機の操縦室が描かれている。カート置き場には空港のロビーを思わせる「DEPARTURE(出発)」という文言が躍り、そして「お腹も心も満たされていく『食の世界』の旅へテイクオフ」と掲げられている。店内放送も空港内の放送に似た雰囲気で、売場演出が“旅”で統一されている。安くて、しかもおいしい商品を、楽しい売場で提供しようという店づくりの姿勢がうかがえる。

 今回の調査では、クルベ江木店を、「商品構成」「販促」「オペレーション」「ビジュアル・プレゼンテーション」「サービス」といった5つの側面から分析してみたい。品揃え、鮮度管理、売場の管理のレベルも高く、1号店ではあるが、ベルクがこれまで培ってきたノウハウがいかんなく発揮されている点が強く印象に残った。

日常のニーズに応える商品構成に注目!

 まず、商品構成面から見てみよう。クルベ江木店の

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