青果のPBづくりが秀逸なヤオコー 新健康PB登場で売場に表れた変化とは

市谷 誠
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競争のPB戦略1280言わずと知れた優良チェーンのヤオコー(埼玉県/川野澄人社長)。2023年3月期決算では、連続増収増益記録を食品スーパー(SM)企業としては前人未到の「34」に伸ばし、24年3月期に入ってからも既存店客数・客単価ともにすべて前年クリアを果たすなどまさに快進撃が続いている。本稿では、群馬県前橋市~高崎市の数店舗を調査し、ヤオコーの商品面の強さを探ってみたい。
※本文中の価格はすべて本体価格

多様なオリジナル商品、PB比率は約10%

 ヤオコーはこれまで、自社企画のレギュラーブランド「Yes! Yaoko(以下、Yes!)」、高品質の上位ブランド「Yes!YAOKO Premium(以下、Yes!Premium)」、ライフコーポレーション(大阪府/岩崎高治社長)との共同開発ブランドである「star select(以下、スターセレクト)」の3つのプライベートブランド(PB)に加えて、完全子会社の小川貿易(埼玉県/大島潤社長)を中心とする直輸入商品をオリジナル商品として展開してきた。

 24年3月期上半期末時点のアイテム数は「Yes!」が558、「Yes!Premium」が240、スターセレクトが194、直輸入商品を含んだ自社仕様商品が321、合計で1313におよぶ。売上高構成比は9.94%(自社仕様商品含む)となっている。

小川貿易直輸入のイタリア産トマトピューレ
ヤオコーの店頭では、完全子会社の小川貿易の直輸入商品の存在感も大きくなっている。写真は小川貿易直輸入のイタリア産トマトピューレ(148円)

 23年11月、そんな同社のオリジナル商品のラインアップに新たなブランドが加わった。健康ラインの位置付けの「Yes!YAOKO Happiness(以下、ハピネス)」だ。ヤオコーのプレスリリースによれば、「お客さまの日常の食生活の中で気軽に取り入れていただきたい、栄養バランスを意識したカラダ想いのライン」で、「原材料の『足す』か『引く』にこだわった商品」だという。

 ヤオコーは近年、子育て世代を中心とするヤングファミリー層、こだわり商品を求めるリッチミドル、そしてシニアをターゲットに据え、「ミールソリューションの充実」と「価格コンシャスの強化」を基本方針とし、消費二極化への対応をすすめてきた。PBラインでいえば、ミールソリューションがYes!Premiumとハピネス、価格コンシャスがYes!とスターセレクトということになるだろう。

PBをマグネットにする巧みな売場展開

 ヤオコーは価格訴求と品質訴求を売場でどのように表現しているのか。

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