ヒット商品多数!名物MDが教える、商品開発メソッドとは?
一昨年から続くコストプッシュ型インフレ、それに伴う消費者の価格志向の高まり、コロナ禍から続く健康ニーズの増大と、食品小売の商品開発を取り巻く環境はここ数年で激変している。小売業は今後、どのような体制で商品開発に取り組むべきなのか。大手コンビニエンスストア、大手スーパーマーケットで商品開発を手がけ、数々のヒット商品を生み出してきた、Enjin Plus代表の近野潤氏が解説する。
この先待ち受けるのは激しい価格競争?
商品開発では、高い位置から広い視点で市場全体を俯瞰するのが重要だ。“森・林・木”の視点があるとすれば、“森”の視点に立って、「(その商品に)消費者がどれくらいお金を使えるのか」をきちんと把握しておく必要がある。
2022年10月以降、値上げが顕著になり、賃金の上昇が物価高に追い付いていない中、消費者は財布の紐を締め始めている。ただ、消費者が合理的に割り切り、安さを求めるものと付加価値や品質を重視するものとを明確に分けている点は、これまでの値上げと異なる傾向だ。
消費行動は年代によって異なり、同じ年代でも、ライフスタイルや食習慣などによって多様化している。とくにコロナ禍以後はタイムパフォーマンスへの意識が高まり、簡便性に対する受容価格の幅が広がった。消費者が求めるものは単なる値下げではなく、複雑系の様相を呈しており、商品開発がより難しい時代になっている。
記録的な物価高にもかかわらず、消費者の価格志向への過度なシフトは現時点でみられていない。この背景として、コロナ禍での外出自粛や外食控えなどによって消費支出が減少し、1世帯当たりの貯蓄額が増加した点が挙げられる。現在、家計はコロナ禍での資金余剰でまだ潤っているが、消費者物価指数の上昇率が 3%の水準で推移し続ければ、消費者の価格感度はやがて高くなる。個人的な見立てでは、現在から約2年後に激しい価格競争の時代が訪れるだろう。
小売業が取り組むべき健康軸のPB商品
コロナ禍を機に、健康志向が顕著に高まっている点にも注目したい。
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