拡大するイオンリテールの都市型SC「そよら」、好調要因とは
イオンリテール(千葉市/井出武美社長:以下、イオンリテール)が展開する都市型ショッピングセンター(SC)「そよら」がじわりと存在感を大きくしている。2020年3月の展開開始から、新規出店と既存店転換により店数を増やし、現在8店舗を展開(2024年3月上旬時点)する。「そよら」の展開により、どのような成果が得られているのか。事業責任者を取材した。

今夏に最大規模の「そよら」がオープン
2020年3月の「そよら海老江」(大阪市福島区)を皮切りにスタートしたイオンリテールの新業態「そよら」は、約5㎞の小商圏をねらった都市型商業施設だ。三大都市および地方の県庁所在地に近い都市を中心に、近畿、中部、関東に全8店舗を展開しており、24年3月28日には「そよら鈴鹿白子」(三重県鈴鹿市)、今夏には「そよら成田ニュータウン」(千葉県成田市)が開業予定だ。イオンリテール執行役員SC本部長 簑原邦明氏によると、店舗展開は「ほぼ計画どおりに進行している」という。

国内に約350店舗を展開するイオンリテールでは、利便性の高い駅近立地に店舗年齢30年を超える店舗を数多く擁している。その多くが、都市生活者が徒歩または自転車で日常的に訪れる、いわゆる“箱型”のGMS(総合スーパー)となっている。
「近年、ニュータウンの持ち家を売って都市部のマンションに移住する高齢者の方が増えるなど、箱型店舗の価値が一層高まっている。旧来の店舗を再生して成長させることは、当社の大事な戦略のひとつ」と、簑原氏は話す。
今期(2025年2月期)も、スクラップ&ビルド(S&B)ないしは大規模改装による業態転換(リボーン)により、前期とほぼ同水準の5店舗前後を「そよら」屋号で新規オープンする計画だという。今後、どの店舗を“そよら化”していくかは経営判断によるものの、旧来店舗のうち商圏内のニーズと乖離が生じている店舗を積極的に再生させたい考えだ。
今期の新規オープンで目玉となりそうなのが、24年夏オープン予定の「そよら成田ニュータウン」だ。同施設はイオンリテール子会社だったボンベルタ(24年3月1日付でイオンリテールが吸収合併)運営の大型ショッピングセンター「ボンベルタ成田」を大規模改装して「そよら」に転換するもので、総敷地面積は2万2451㎡となる。施設周辺は成田空港拡張にともなう新たな街づくりが進行中ということもあって、人口増加が見込まれており、簑原氏も「完成すれば最大級の『そよら』となる。成田市は都市としてのポテンシャルも高く、既存アセット再生の大きなチャンスになるだろう」と期待を寄せる。
ふだん使いのニーズを捉える売場づくりとは
では、「そよら」の展開によりどのような成果が得られているのだろうか。
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