福島のマルト、鮮魚で断トツの差別化をする手法と取り組みとは
マルト(福島県/安島浩社長)は、JR常磐線沿線を中心に福島県と茨城県で37店舗を展開する食品スーパー(SM)だ。国内では鮮魚の需要減退の傾向が続き、鮮魚の売上高構成比は業界平均で6.1%(2023年4月度、日本チェーンストア協会による統計)となっているが、マルトは約10%を占めている。同社は鮮魚部門を他社との差別化の武器に据え、商品の磨きこみや商品化の工夫などで提案力を高めている。
市場や地元漁港と密接な関係を構築
マルトが出店する福島県と茨城県は、日本有数の漁場が近く魚食文化が根付いた地域だ。そうした地域の特色もあり、マルトは鮮魚部門を重要な部門に位置づけている。同社の鮮魚部門における商品政策(MD)のコンセプトは「新鮮な生魚を家庭で調理し、家族みんなでおいしく食べてもらう」で、地元で水揚げされた生魚を中心に丸魚をきちんと品揃えすることを基本としている。
この方針のもと、売場では陳列スペースを十分に確保して、水槽内の活け魚を含む丸魚を大型店では平均約30SKU揃え顧客の要望に合わせて店内で加工している。また近年は、調理の時短や簡便化へのニーズにも対応し、切り身や刺身など加工度の高い商品や、手間をかけずにすぐ食べられる魚総菜の販売にも力を注ぐ。
丸魚の仕入れでは、マルトは新鮮な商品を仕入れるために卸売市場と密な関係を築いている。仕入れ先は従来、「いわき市中央卸売市場」(福島県いわき市)を中心としていたが、近年は各市場の情報をタイムリーに収集するべく、茨城県水戸市や宮城県仙台市の卸売市場などにも分散させている。いわき市、水戸市、仙台市の市場にバイヤーを1人ずつ常駐させており、24年度には福島県郡山市の市場にもバイヤー1人を派遣する計画だ。
マルト商事生鮮本部鮮魚部課長の木村博樹氏は「バイヤーがそれぞれ1市場を担当し、1~2年のサイクルでジョブローテーションを行うことで、全バイヤーが各市場の特徴をつかめるようにしたい」と話す。
仕入れの面では、ほかにも特徴がある。
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