アークス連合、イオン、ローカルスーパー、薬王堂がしのぎを削る岩手激戦地レポート
国内の中でも、少子高齢化・人口減少のスピードがとくに速い東北地方。2045年には東北6県の人口が7割弱減少するとの予測*もあり、マーケットボリュームの縮小に歯止めがかからない状況だ。そうした厳しい環境下において、同地方を地盤とする小売各社はどのような競争を繰り広げているのか。北東北の代表的なチェーンが集積する岩手県矢巾町を訪れ、フード&ドラッグと有力小売の競争環境とその戦い方の実相を調査した。*国立社会保障・人口問題研究所『日本の地域別将来推計人口(平成30(2018)年推計)』(調査日:2022年5月28~30日)※文中・表中の価格は本体価格
県内随一の肥沃なマーケット
岩手県中央部に位置する矢巾町。県下有数の穀倉地域である一方、県庁所在地・盛岡市から南へ10㎞ほどという立地から、同市のベッドタウンとしても発展した町だ。人口は約2万7000人。多少の変動はあるものの、東北地方の自治体としてはめずらしく、近年は人口が増加基調にある。その背景としては、2007年に岩手医科大学のキャンパスが開校し学生が入れ替わり定住していること、そして19年に東北地方最大規模の病床を有する岩手医科大学附属病院が盛岡市から移転し、関係者の流入が促されたことなどが挙げられる。
矢巾町の面積は約67㎢と小さいが、岩手県内、そして東北地方全体で見ても貴重といえる肥沃なマーケットであるゆえ、多くの小売企業が町内に進出している。
町の玄関口であるJR東北本線「矢幅」駅を軸に見ると、約300m西にユニバース(青森県/三浦建彦社長)の「ユニバース矢巾店」、駅東側400mにイオン東北(秋田県/辻雅信社長)の「マックスバリュ矢巾店」、同1.5㎞離れてベルジョイス(岩手県/澤田司社長)の「スーパーアークス矢巾店」(20年11月に「ビッグハウス」業態から転換)、同1.8㎞にマルイチ(岩手県/小笠原正吉社長)の「マルイチ矢巾店」などがある。このほか東北全域にDgSを展開する薬王堂(岩手県/西郷辰弘社長)が「岩手矢巾店」「矢巾SC店」の2店舗を出店(このほか調剤専門薬局が複数店ある)。まさに北東北を代表するSM、DgSがしのぎを削っているのだ。
今回はこれらSM4店舗と、薬王堂の2店舗を対象に、各チェーンの販売戦略と競合状況を調査・分析してみた。
ローカルSM、ドラッグも一定の存在感放つ
最初に各店の
DCS Report の新着記事
-
2024/07/18
呉に帯広 ウォルトが中都市、寒冷地でもビジネスできる驚きの技術 -
2024/07/17
打海直也新社長が語るビッグ・エー新体制下の戦略と新MDとは? -
2024/07/16
ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは -
2024/07/04
ミニストップ、進化した独自モデルの実力と戦略とは -
2024/07/02
老舗うなぎ店もスーパーも採用「特殊冷凍」がビジネス変える! -
2024/06/18
イトーヨーカ堂の新総菜ブランド「ヨーク・デリ」のねらいとは
この連載の一覧はこちら [227記事]
![DCS Report](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2020/07/DCS-Report680.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=e79acaca1dcba96fd20a94a92db62b95)
アークス,マックスバリュ関東,ユニバース,薬王堂の記事ランキング
- 2024-07-15週刊スーパーマーケットニュース コープさっぽろ、宅配トドックで新たに食器・調理器具を回収
- 2024-06-04明暗!ライフ、U.S.M.H、アークス、2024年2月期決算分析!
- 2024-06-26週刊スーパーマーケットニュース 日本生協連、23年度の地域生協の事業概況を発表
- 2023-03-08ストア・オブ・ザ・イヤー2023、11〜20位も話題の新店がずらり!
- 2019-08-05流通再編の衝動その4 “地方豪族”が結集、その意味するところとは?
- 2019-11-19#8 北海道最強スーパーの意外すぎる過去。デフレ時代に咲いた遅咲きの花、アークス
- 2024-03-12「小さく始めて大きく育てる」アークス流のDX戦略
- 2018-12-27有力スーパー3社の電撃同盟、背景にある「重要な課題」とは!?
- 2019-10-18#7 北海道のスーパー「3極寡占化」がもたらした「新北海道価格」のご利益
- 2019-12-18#9 イオンという「外資」が、3極寡占化を促した
関連記事ランキング
- 2024-07-09他のスーパーとは別物に進化!スゴいローカルスーパーの生存戦略とは
- 2024-07-22コスモス薬品 東北進出、食品構成比6割越えの衝撃!
- 2024-07-11超優良ローカルスーパー、サンベルクス、その高収益の秘密とは
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-11アルビスに学ぶ 規模拡大とローカルスーパーの強さを両立する方法
- 2024-07-16ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは
- 2024-07-1214年で売上倍増、京都の高収益スーパー、生鮮市場!が強い理由
- 2024-07-10有力商業施設に続々出店のフードウェイ 強さ支える組織の秘密とは
- 2024-07-10店内カフェで定食提供!生鮮の魅力を最大化、ウジエスーパーの成功事例
- 2024-07-10店舗前提の高収益ネットスーパーで成長するスーパーサンシ
関連キーワードの記事を探す
他のスーパーとは別物に進化!スゴいローカルスーパーの生存戦略とは
平均年商28億円!大手とは“ディファレント”な存在めざすクックマートの稀有な戦略とは
有力商業施設に続々出店のフードウェイ 強さ支える組織の秘密とは
週刊スーパーマーケットニュース コープさっぽろ、宅配トドックで新たに食器・調理器具を回収
週刊スーパーマーケットニュース 日本生協連、23年度の地域生協の事業概況を発表
ストア・オブ・ザ・イヤー2023、11〜20位も話題の新店がずらり!
マックスバリュ関東が自前でQコマースを開始、そのねらいと勝算とは
買物体験型スーパーとしてリニューアル、マックスバリュエクスプレス幕張店
経営戦略にサステナブルを組み込み、持続可能な小売業に変革する方法
「サステナブルはイノベーション生む起爆剤」ファミリーマートの戦略とは
オイシックス、食の社会課題解決と収益性向上を図るサステナブルリテール戦略とは