鉄道輸送に事業者の帰り便活用…アークスの物流最適化戦略とは
アークス(北海道)は、北海道・東北・北関東を拠点に、ラルズ(北海道)、ユニバース(青森県)、ベルジョイス(岩手県)など食品スーパー(SM)10社を傘下に抱える流通グループだ。同グループは商圏エリアが広大で、かつ各SMで事業環境が異なるなか、物流事業者ら取引先との関係を築き、物流ルートや拠点、トラックへの商品積載計画などを協力して緻密に設計することで、物流効率化を実現している。
物流体制の一元化は必ずしも効率的ではない
![松尾直人氏](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2024/01/dcs240115_70_002.png)
アークスは、グループ会社が対等の立場でつながる「八ヶ岳連峰経営」を掲げ、情報システムなどの基盤をグループで共通化しながら、各地域に根差した事業運営を行っている。物流体制についてもこの方針は同じだ。アークス傘下のSMでは各地域の状況に応じて物流体制を独自に構築してきた。アークス執行委員かつラルズの専務取締役ロジスティクスグループ担当で、アークスの現在の物流構築をけん引してきた松尾直人氏は「アークスは事業エリアが広大で、かつグループのSMの事業規模が一様でない。そのため、物流体制の集約や、TC1型やTC2型(※)など物流の形態・方式を統一することが必ずしも効率化につながらない」と説明する。
※TCはトランスファーセンター(通型型物流センター)のことで、基本的には在庫を持たず、荷物を開梱し、検品・仕分け・トラックへの積み替えなどを行う。TCのなかでも1型は、工場などの入荷元から、発送先の店舗ごと用にすでに仕分け・梱包された商品が納品される。一方の2型では複数の配送先分の商品が総量がまとめて入荷される方式で、1型と異なりセンターでピッキング作業を要する
![トラックの写真](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2024/01/dcs240115_70_001.png)
しかし物流の効率化は必要不可欠だ。そこでアークスが物流構築のうえで意識してきたのが、物流事業者との対話である。「配送の現場を支える運送会社が抱える困りごとなどの声にも耳を傾けながら、長年かけて関係性を築き、物流網の構築や改善に取り組んできた」(松尾氏)。
帰り便活用にモーダルシフトも推進
アークスで注目したいのは、自らでグループ内物流ネットワークを組み上げ、コントロールしている点である。
たとえば、
切迫の物流変革 の新着記事
-
2024/01/13
構想進むフィジカルインターネット、その大きな効果とステップ、懸念とは -
2024/01/12
食品小売業にいまこそ、物流に戦略が必要な理由とその方法とは -
2024/01/12
2030年までと2040年までとで激変!最適な物流改革の手法を解説 -
2024/01/12
「新流通ビジョン」にみる物流改革の本質、DXで事業モデルそのものを抜本改革へ -
2024/01/12
「運ばない物流」でDgS、CVSの受託で急成長中のビーイングHDとは -
2024/01/11
共同配送網の改善で物流危機時代を乗り切るセブン-イレブンの戦略とは
この特集の一覧はこちら [13記事]
![切迫の物流変革](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/12/26e0a88b6f9b0decb494fbca9bb411f4.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=91e814789011c09b2ada19e53bc4b683)
アークスの記事ランキング
- 2024-07-15週刊スーパーマーケットニュース コープさっぽろ、宅配トドックで新たに食器・調理器具を回収
- 2024-06-04明暗!ライフ、U.S.M.H、アークス、2024年2月期決算分析!
- 2024-06-26週刊スーパーマーケットニュース 日本生協連、23年度の地域生協の事業概況を発表
- 2019-08-05流通再編の衝動その4 “地方豪族”が結集、その意味するところとは?
- 2019-11-19#8 北海道最強スーパーの意外すぎる過去。デフレ時代に咲いた遅咲きの花、アークス
- 2024-03-12「小さく始めて大きく育てる」アークス流のDX戦略
- 2018-12-27有力スーパー3社の電撃同盟、背景にある「重要な課題」とは!?
- 2019-10-18#7 北海道のスーパー「3極寡占化」がもたらした「新北海道価格」のご利益
- 2019-12-18#9 イオンという「外資」が、3極寡占化を促した
- 2023-09-13東北・北海道小売業売上高ランキング2023 積極出店で存在感増すツルハ、ベニマルは大幅増益
関連記事ランキング
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-07-17「ロピア化売場」はどう変わった?「スーパーバリュー草加店」店舗レポート
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2024-07-16ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは
- 2024-07-01ヤオコーの南北政策の旗艦店、伊奈店のシニア対応MD徹底分析
- 2024-07-24週刊スーパーマーケットニュース サミット、小売業向けワーク用スニーカー開発に協力
関連キーワードの記事を探す
週刊スーパーマーケットニュース サミット、小売業向けワーク用スニーカー開発に協力
有力商業施設に続々出店のフードウェイ 強さ支える組織の秘密とは
週刊スーパーマーケットニュース Uber Eatsが人手不足と「食料品アクセス問題」を解決