九州、北海道、首都圏  食品スーパー業界で進む物流連携の最新状況

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各地の食品スーパー(SM)や物流事業者らで連携して物流改善に取り組む物流研究会が立ち上がっている。製・配・販のなかでも、とくに配送や納品に対して影響力の大きい、販つまり小売業が改革に乗り出したことは、業界を超えて世間の耳目を集めている。今回の特集で取材の機会を得られた「SM物流研究会」と「北海道物流研究会」の取り組みについてレポートする。

物流研究会が各地で続々と発足

 物流問題が深刻化するなか2022年後半頃からSM業界において、物流領域を「競争」ではなく「協調」領域ととらえ企業の垣根を越えて連携する動きが生まれている。

 まず22年8月、トライアルホールディングス(福岡県:以下、トライアルHD)とイオン九州(福岡県)が幹事役となり、九州を主要拠点とする小売業であるエレナ(長崎県)、サンリブ(福岡県)、トキハインダストリー(大分県)、西鉄ストア(福岡県)、ハローデイホールディングス(福岡県)、さらに福岡県を有力地盤の1つとする西友(東京都)のほか、物流企業など計13社(参画企業ともに発足当時の情報)が参画する「九州物流研究会」が発足した。

 23年3月には首都圏で事業展開するライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)、ヤオコー(埼玉県)、サミット(東京都)、マルエツ(東京都)の4社が「首都圏SM物流研究会」を立ち上げ、さらに5月には北海道を地盤とするイオン北海道(北海道)、北雄ラッキー(北海道)と、九州物流研究会にも加盟する西友、トライアルHDなど14社が参画する「北海道物流研究会」もその活動をスタートさせた。具体的にどのような活動が進んでいるのか。

「首都圏SM物流研究会」発足時の会見の様子
23年3月、「首都圏SM物流研究会」発足時の会見の様子。左からサミットの服部哲也社長、マルエツの本間正治社長、ヤオコーの川野澄人社長、ライフの岩崎高治社長

SM物流研究会
製・配・販で対話し4つの施策を実行

 「首都圏SM物流研究会」は、日本スーパーマーケット協会(東京都)の正副会長会社でもあるライフ、ヤオコー、サミット、マルエツ4社のトップが抱く、食品小売業界の物流の持続可能性に対する強い危機感から生まれた。

 まず4社が実行を

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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