日本スーパーマーケット協会・岩崎高治会長が語る「解決めざす業界の3つの課題と施策」とは

聞き手:小野 貴之 (ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長)
構成:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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2023年6月、約14年にわたり日本スーパーマーケット協会(以下、JSA)の会長を務めた川野幸夫氏(ヤオコー会長)が名誉会長に就き、ライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)社長の岩崎高治氏が新会長に就任した。業界団体の長として、今後どのような舵取りをするのか。岩崎新会長に聞いた。

SMの消費環境は「総じて悪くない」

──JSAの3代目会長に就任された経緯を教えてください

日本スーパーマーケット協会会長岩崎高治氏
岩崎高治(いわさき・たかはる)
●1966年生まれ、東京都出身。89年3月に慶応義塾大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。94年2月に三菱商事100%子会社のPrinces Ltd(. 在英国)を経て、99年5月にライフコーポレーション入社、取締役に就任。2001年10月に専務取締役、06年3月に代表取締役社長、23年9月から代表取締役社長執行役員 営業統括兼開発統括兼営業戦略本部長(現任)。21年6月に日本スーパーマーケット協会理事、22年3月に副会長、23年6月から会長を務める

岩崎  JSAはライフ創業者の清水信次が1999年に立ち上げ、2009年から川野前会長が2代目の会長となりました。以来、十数年が経過し、川野前会長から何度かバトンタッチの打診がありましたが、コロナ禍もあり、お引き受けするタイミングを逸していました。コロナ禍が収束に向かい、状況が変化したので、川野前会長には名誉会長の立場から引き続きご指導いただくことを条件に、お引き受けすることになった次第です。

──あらためてJSAの役割とは何でしょうか

岩崎  協会の定款で、次のように定めています。

 「本会は、会員企業相互の成長発展を通して、スーパーマーケットの健全な発展およびわが国の食料品流通機構の近代化・合理化を促進し、ライフラインとしての食品の安定供給を図るとともに、より豊かな国民生活の実現に寄与することを目的とする」。

 この実現のため、政治、行政などに対し政策を提言するのがJSAの役割です。またSM業界の地位向上をめざし、積極的な情報発信や調査研究活動、そして社会貢献活動にも力を入れます。これらは社会的にも求められている活動だと考えています。

──SM企業を取り巻く環境をどう認識されていますか

岩崎  総じて、悪くないとみています。コロナ禍の1年目は内食需要があり、2、3年目は反動減がありましたが、感染が始まる前の19年度と比較すると、SMのマーケットは5%増ほどに拡大しています。行動制限が解除され、インバウンドが増え、日本人も活発に外出するようになりました。株価も上昇傾向にあり、資産効果もあって高所得者の消費も伸びています。まだ不十分といわれているものの、賃上げも行われました。全体的に消費環境は悪くなく、これがしばらく続くとみています。

──消費動向が悪くないという認識の半面、課題はありますか

岩崎  喫緊の課題となっているのが

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聞き手

小野 貴之 / ダイヤモンド・チェーンストアオンライン 副編集長

静岡県榛原郡吉田町出身。インターネット広告の営業、建設・土木系の業界紙記者などを経て、2016年1月にダイヤモンド・リテイルメディア(旧ダイヤモンド・フリードマン社)入社。「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属し、小売企業全般を取材。とくに興味がある分野は、EC、ネットスーパー、M&A、決算分析、ペイメント、SDGsなど。趣味は飲酒とSF小説、カメラ

構成

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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