「運ばない物流」でDgS、CVSの受託で急成長中のビーイングHDとは
現在、自社の物流センターを3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者に委託している小売業は多い。ビーイングホールディングス(石川県:以下、ビーイングHD)は、ロジスティクスの6つの機能である輸送・保管・包装・荷役・流通加工・情報システムを一気通貫で担う3PL事業者で、現在、生活消費財を中心に扱う小売企業からの受託増で大きく成長中だ。その背景には、独自の物流センターモデル、そしてデータ活用によるサプライチェーンマネジメント(SCM)を小売業とともに実践していることにある。その取り組みを取材し、小売企業とともに多くの物流センターを築き上げてきた喜多甚一社長に、小売業の今後と物流に求められることを聞いた。
北陸発DgSの多店化支える物流網を構築
ビーイングHDは1986年、石川県金沢市で卸売配送業の河内物流として創業。喜多社長が1人でトラックにて鶏肉を運ぶ仕事からスタートした。それから、卸の物流センターの受託運営を経て、現在では卸・小売業向け3PL事業へと進化を遂げた。
3PL事業となるまで物流の運営ノウハウを高められた背景には、北陸のドラッグストア(DgS)の躍進がある。喜多社長は「北陸3県を本拠地とするDgSが多店化に乗り出す際に建設した物流センターの9割ほどは当社が手掛けた。企画・提案・運営まで担うことはもちろん、取引先への説明会のアレンジなど細部までフォローすることでDgS企業から信頼を獲得し、小売業の物流センター運営の実績を積み重ねていった」と振り返る。
2013年には小売業向けの物流センターとして「白山第3センター」(石川県白山市)を開設したことで、小売業界へのプレゼンスをさらに高めた。17年には東京本社も開設して金沢本社との二本社制に移行し、本格的な全国展開に乗り出している。
22年12月期の業績は、営業収益230億2200万円(対前期比14.9%増)、営業利益13億100万円(同16.4%増)、当期純利益8億7300万円(同2.5%増)で、5期連続の増収増益となり、営業収益、各利益ともに過去最高を更新している。

製・配・販のセンターを1つに集約
ビーイングHDの特徴は、取り扱う商材を、食品、医薬品、化粧品、日用品などの生活物資に特化している点だ。取引先は
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