オギノ、事業の要商品・店舗運営・出店と一体化した物流戦略を推進

阿部 幸治 (ダイヤモンド・チェーンストア編集長)
下田健司
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「物流の2024年問題」が業界の大きな課題となるなか、物流先進企業はどんな物流戦略を実行しているのか。山梨県を地盤に食品スーパー(SM)を展開するオギノは、早くから自前の物流施設を設け物流基盤を整えて、現在、4つの物流施設を展開する。各センターは効率運営を図りながら、全46店舗に商品を届けている。物流を事業の要ととらえ、商品、店舗運営、出店と連携させているオギノの物流戦略を専務取締役営業本部長の荻野雄二氏に聞いた。

物流・商品・店舗の各部署が連携

──物流の基本的な考え方を教えてください。

荻野  物流は事業の中核です。物流基盤が整っていないと店舗に商品を供給できないし、店舗作業も円滑に進められません。食品メーカーからすれば人口約80万人の山梨県への物量は大きくないので、店舗が分散しているとコスト高につながります。関東から商品を山梨県に運ぶ場合、物量が少ないので長野県の分と合わせて運ばざるをえません。地域的な制約から取引条件が厳しかったため、1993年に生鮮センターを開設しました。重い投資でしたが、現在の物流基盤につながっています。

荻野雄二氏
荻野雄二(おぎの・ゆうじ)
●1982年生まれ。
2007年4月合同会社西友入社
10年6月株式会社オギノ入社
17年5月取締役物流部総括マネジャー就任
19年4月常務取締役店舗運営部総括マネジャー就任
21年5月専務取締役管理本部長就任
23年5月専務取締役営業本部長就任
現在に至る

──現在はどんな物流施設を展開していますか。

荻野  加工食品を扱うグロサリーセンター、チルド・生鮮品を扱う生鮮センター、衣料や物品を扱う衣料・用度品センター、そして甲府青果が運営する青果センターの4施設を有しています。甲府青果は調達から販売までを自前化するため2023年11月に買収しました。90%の商品がこれらの4センターから店舗に配送されています。冷凍食品・アイスを除くと直接店舗に配送される商品はほとんどありません。

 生鮮センターは水産・畜産、一部総菜のPC(プロセスセンター)機能のほか、チルドのTC(通過型センター)機能を持っています。DC(在庫型センター)機能を持つグロサリーセンターは三菱食品と連携し、加工食品・菓子・酒類・住居関連品を出荷しています。衣料・用度品センターはDCとTCの両機能を有しています。

──配送体制はどうなっていますか。

荻野  配送は外部委託で1日4便体制です。1便はPC加工品や日配・チルド、2便は生鮮品・PC加工品・グロサリー、3便はグロサリーの特売品、住居関連品、衣料・用度品、PC加工品の追加分、4便はグロサリーの定番です。青果は別便の青果便で1日2回の配送です。チルドと常温品は混載で運ぶなど積載効率を高めながら、店舗に何時にどの商品が届けば作業効率がいいのかを考えて配送しています。積載率は1便が100%で、平均すると90%弱に達しています。

──物流、店舗、商品の各部署はどのように連携していますか。

荻野  連携は非常に

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記事執筆者

阿部 幸治 / ダイヤモンド・チェーンストア編集長

マーケティング会社で商品リニューアルプランを担当後、現ダイヤモンド・リテイルメディア入社。2011年よりダイヤモンド・ホームセンター編集長。18年よりダイヤモンド・チェーンストア編集長(現任)。19年よりダイヤモンド・チェーンストアオンライン編集長を兼務。マーケティング、海外情報、業態別の戦略等に精通。座右の銘は「初めて見た小売店は、取材依頼する」。マサチューセッツ州立大学経営管理修士(MBA)。趣味はNBA鑑賞と筋トレ

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