精肉が集客、差別化部門に!スーパーも警戒、薬王堂の生鮮 MD を徹底分析!

解説:海蔵寺りかこ (代表)
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東北6県で約370店舗のドラッグストア(DgS)を展開する薬王堂ホールディングス(岩手県/西郷辰弘社長:以下、薬王堂)。DgS商材のみならず、日用雑貨や食品など多岐にわたるカテゴリーを扱うことで知られる、東北を代表するDgSチェーンだ。同社は近年、一部店舗で生鮮食品を導入するなど、フード&ドラッグをより強く志向する動きを見せている。そこで今回、ドミナントエリアの1つである岩手県中部の紫波(しわ)町の3店舗を訪問し、薬王堂の「生鮮MD」の最新状況を調査した。※文中の価格は本体価格

生鮮導入店舗を拡大し“食品深耕”の姿勢鮮明に

 薬王堂は現在、北は青森県から南は福島県まで東北6県に広く店舗網を有しており、2022年度上期末の店舗数は367店舗。22年2月期の連結売上高は1203億円、対前年同期比8.8%増と好調だった。年間の新規出店数はここ数年20~30店舗で推移している。

薬王堂

 薬王堂がビジネスモデルとして掲げるのは、「小商圏バラエティ型コンビニエンス・ドラッグストア」である。一般的なDgSの商圏人口が1万人以上とされるなかで、薬王堂は7000人程度の「小商圏」に出店し、医薬品や化粧品、日用雑貨、さらには食品など「バラエティ」に富んだ豊富な品揃えを提供し、お客にとってアクセスが容易で買物しやすい「コンビニエンス(便利さ)」を追求する、というのが薬王堂の戦略である。

 そのなかで同社が重視している取り組みの1つが、「食品強化」である。もともと食品には力を入れていたが、その規模は年々拡大。セグメント別売上高を見ると、17年度の「フード」の売上高構成比は41.0%だったのが、21年度は44.2%、最新の22年度上期では45.3%に上っている。

 食品強化を推し進めるなかで、目下増えつつあるのが、生鮮食品を導入した店舗である。青果と精肉の2部門での展開で、両部門を扱う店舗は福島県を除く5県で広がっている。詳しくは後述するが、いずれも外部納品であり、売場スペースはそれほど広くはない。精肉であれば冷蔵の平台1台あるいは壁面の冷ケース1台程度での展開、青果もおよそ同等である。しかし、その存在は決して小さくない来店動機を生み出しているようなのだ。

「売り込む」姿勢を感じる青果売場

 薬王堂の生鮮を含む食品MD(商品政策)の

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解説

海蔵寺りかこ / KTMプラニングR 代表

食品コンサルタント
1級色彩コーディネーター、カラーデザイナー、UCアドバイザー

株式会社KTMプラニングR代表。大阪府吹田市出身、太陽の塔を眺めながらバレーボールに明け暮れる少女時代を過ごす。ダイヤモンド・チェーンストア誌連載「販促の強化書」、店舗調査解説などを執筆。JA全農にてさまざまな国産農畜産物のSPA化と向き合う。惣菜メーカー、食品スーパー、データ分析等の各企業のサポートや各種セミナーも開催している。

KTMプラニングRホームページ

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