オータニ、川野泉新社長が本気でめざす「日本一のローカル SM」、その戦略とは

取材・文:雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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2021年にアークス(北海道/横山清社長)グループに入った、栃木県を地盤に食品スーパー(SM)を展開するオータニ。激戦地・北関東で疲弊状態にあった同社を率いるのが、今年5月に着任した川野泉社長だ。めざすは「日本一のローカルSM」。復活への道筋を川野社長に語ってもらった。

「指揮官不在」でコロナ禍でも売上減

 「実際に来てみて、しまったなあと思ったよね(笑)」。川野社長は、就任当時を振り返ってこう苦笑する。

 川野社長は高校卒業後に西友ストアー(現 西友)に入社し、店長や本部の部門長を経て執行役員まで勤め上げた。歯に衣着せぬ性格で知られる、たたき上げの人物である。その後アークス傘下のユニバース(青森県/三浦建彦社長)から招聘され、店舗運営本部長として辣腕をふるっていた。

オータニ外観
オータニは栃木県を中心に31店舗を展開する

 「年齢も年齢だし、そろそろ退任させてもらいたいと会社とも話をしていた」(川野社長)という矢先、アークスの横山社長からオータニの社長就任を打診される。悩んだが、少しでもこれまでの経験が役に立つのなら、と最終的には栃木・宇都宮に赴いた。

 しかし、オータニの社内には明らかに閉塞感が漂っていた。売上高はピーク時には300億円を超えていたものの近年漸減傾向にあり、2022年2月期には約260億円まで減少。コロナ特需の恩恵もほとんど受けられないほど、競争力を失っていた。

 「全店舗を回ってみたけど、従業員が職場や会社に誇りを持てていない。マネジメントや教育といった概念もない。自分のキャリアの終盤に、とんでもないところに来てしまったなと後悔したよ」。川野社長はそう笑いつつ、こう続けた。「要するにね、社内に『指揮官』がいなかったんだよ。だから誰も動こうとしないし、動けなかった」。

組織、売場の再生を促す3つの重要ポイント

 そこで川野社長自らが指揮官となり、まずは組織そのものを根本から立て直すことにした。最優先で取り組んだのが、次の3つのポイントだ。

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取材・文

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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