「個性」と「物語」を競争軸に日本のビールの魅力化をめざす!「サッポロ生ビール黒ラベル」
若年層を中心に独自の世界観に共感
ロングセラーブランドとして、継続して飲用するファンがいる一方で、常に新しいユーザーを獲得し、ブランドの鮮度感を保ち続けている「黒ラベル」。その魅力はいったい何なのか。
「生ビール本来のおいしさにもこだわっていますが、それに加えて『黒ラベル』ならではの世界観をもち、それを大事にしているブランドの姿勢が若い世代を中心に共感を得ているのだとみています」(齋藤氏)
「黒ラベル」が発信する世界観といえば、真っ先に頭に浮かぶのが「大人エレベーター」のテレビCM だ。自分らしく生きる格好いい大人たちが登場し、そうした大人たちとともにあるビールとして「黒ラベル」が描かれ、大人への憧れを育んでいる。2010 年にスタートしたシリーズは高い評価を獲得し、今も継続展開する人気CM だ。
だが、そこに至るまでは紆余曲折があったという。発泡酒や新ジャンルが登場して逆風が吹くなか、どうコミュニケーションしていくか。そもそも「黒ラベル」の強みは何なのか。試行錯誤の末にたどり着いたのが、独自の競争軸をつくることだった。
「顧客調査を行うと、こだわりをもって『黒ラベル』を選んでいるお客さまが多いことがわかりました。これを価値に変えられないか。そこで、こだわりのある大人が意志をもって選ぶブランドになるようなマーケティングに舵を切ったのです」(齋藤氏)
味や価格ではなく、世界観を競争軸に――。思い切った戦略変換だったが、粘り強く続けていくことで次第に受け入れられ、現在の成長につながっている。まさに「お客さまの中に答えがあった」というわけだ。実際、「黒ラベル」という名も顧客が名付け親だ。もともと「サッポロびん生」という商品名で発売されていたが、「黒ラベル」という愛称で親しまれていたことから、1989 年に正式に商品名となったという歴史がある。とことん顧客の声を聞いて、顧客と共創する。そのブランド姿勢は今も変わらない。
3月上旬より新CM投下
新たなアプローチ続々
コロナ禍を機に、消費者の生活意識や行動が変化し、モノを購入する際の判断基準も変わりつつある。単に、売れているからといって反応するのではなく、自分にとってどんなことをもたらしてくれるのか。商品のスペックはもとより、企業やブランドがどんなポリシーでメッセージを発信しているのかを選択基準にして、それに共感してモノを選びたいと考える消費者が若年層を中心に増えている。こうしたモノの選び方の変化は「黒ラベル」にとって追い風であり、絶好のチャンスだと齋藤氏は断言する。それゆえ、2023年はさらなる成長をめざし、独自のビールマーケティングを強化していく考えだ。
「生のうまさの体験機会を増やしていくとともに、独自の世界観への共感を醸成していきながら、既存のお客さまの熱狂的なファン化と新しいお客さまの獲得を推進し、成長を加速させていきたいと考えています」(齋藤氏)
その足がかりとして、3月上旬より新たなテレビCM を投下する。好評の「大人エレベーター」を継続させながら、ブランドに新たな刺激を与えるためのチャレンジだ。具体的には、「黒ラベル」ブランドのキーメッセージである「丸くなるな、☆星になれ。」の真意をひもとくような内容になっている。世間にこびたり、人の目を気にしたりして生きていくよりも、自分がいいと思ったことを貫いて、こだわりをもって生きることを「黒ラベル」は応援していく。そんなメッセージを込めているという。
これに合わせて、新CMと連動したデザイン缶を登場させるとともに、飲食店と家庭用の缶商品を連動させた新キャンペーンも開始する。飲食店で飲んだ味を家庭でも味わってもらうというサイクルを回し、「黒ラベル」の体験機会を増やすのがねらいだ。
「酒税の一本化に向けて、私たちは日本のビールをもっと魅力的なものにしていきたいと考えています。そのけん引役が『黒ラベル』。『個性』を磨き、『物語』を紡いで、独自の競争軸でビールの魅力化に貢献していきます」(齋藤氏)
*KSP-POS(食品SM)にて、「ビール」カテゴリーにおいて金額構成比1% 以上の商品を対象に、2022年4 月~ 9 月までの金額増減率を抽出。CGC 商品と対象期間の前年4 月までに出現のない商品は除外