ビッグ・エーが実践する、顧客が支持するプライシングの妙と商品政策とは
物価高が続く中、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)グループでハードディスカウントストア(HDS)を展開するビッグ・エー(東京都)が着実に消費者の支持を集め、業績を伸ばしている。ビッグ・エーはHDSとしてどのような仕組み、仕掛けで「安さ」を提供しているのか。ビッグ・エーの三浦弘社長にインフレ下の経営戦略と最新の取り組みについて聞いた。
既存店は好調も「危機感がある」
2022年以降、世界的なコストプッシュ型インフレに見舞われ、23年に値上げされた食品・飲料は3万品目を超えた。物価高下での消費者の購買行動の変化について、ビッグ・エーの三浦弘社長は「22年10月に値上げ品目数が最多となり、値上げへの戸惑いが一気に高まった後、23年2月以降は春季労使交渉が活発になり、賃上げの機運が社会的に高まったことから、やや落ち着く様相も見られた。だが、4~5月頃から物価高と賃上げのスピードのアンマッチが実感されるようになり、6月以降、買物頻度が顕著に減っている」と分析する。

節約志向もさらに高まっている。HDSのビッグ・エーでは、来店頻度が高いため、従来、大容量パックへのニーズはそれほど高くなかったが、物価高下では大容量パックがよく売れているという。
金銭面の節約だけでなく、時間の節約も重視されている。コロナ禍を機に、最寄りの店で生活必需品を手早く買い揃えるショートタイム・ワンストップショッピングが定着し、手間やわずらわしさのない「フリクションレス」な買物体験がより求められている。
ビッグ・エーの23年度上半期の既存店売上高は対前年同期比7%超増と、一見、好調に推移しているが、三浦社長は「非常に危機感がある」と懸念する。
値上げによって商品1個当たりのユニットプライスが上昇し、客単価が前期実績を上回っている一方、客数はほぼ横ばい、買い上げ点数は伸び悩んでいる。値上げ品目数がピークに達した22年10月から1年が経過し、値上げはほぼ一巡。一品単価が上昇しなくなり、客数も横ばいにとどまれば、買い上げ点数が増えないかぎり、売上高は前年実績を下回ってしまう。三浦社長は「価格設定と品揃えの巧拙によって、食品小売業の格差は大きくなっていくだろう」との見解を示す。

顧客離れを防ぐプライシングの妙
三浦社長は「ほかの業態と比較しても、DSは
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