コスモス薬品、ゲンキー、クスリのアオキ 日本全国で暴れ回るフード&ドラッグ3社の戦略と実力、影響を徹底解説!
クスリのアオキHDが「スーパーのアオキ」を開業
そしてクスリのアオキHDは、今年6月と8月に、石川県内で5店舗(当時)を展開するナルックス(近岡修社長)と、京都府北部で8店舗を持つフクヤ(平野功社長)のローカルSM2社を相次いで買収。ねらいは生鮮ノウハウの獲得にあり、とくに競合するSMに比べて品揃えや品質の面で課題を抱えていた鮮魚部門のテコ入れを図るとみられる。すでにナルックスの一部店舗については閉店・改装作業を進め、12月2日に新業態「スーパーのアオキ」の1号店を金沢市内に出店している。
同社の生鮮部門は青果を除いてコンセでの運営だったが、今後はナルックスやフクヤのように地域に根差したローカルSMならではの生鮮ノウハウをもとに、生鮮強化を図る方向とみられる。今後も関西~東北の各エリアで同じようなM&A(合併・買収)を連発させていく可能性は否定できない。競争激化やマーケット縮小により体力を消耗させているローカルSMは少なくなく、クスリのアオキHDのようなDgSの傘下に収まるという“戦略的判断”を下す経営者も出てくるかもしれない。
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このように、コロナ禍の需要増も追い風に意気盛んにさらなる成長戦略を描き、実行に移しているフード&ドラッグ。彼らが以前にも増して食品マーケットを本気で獲りにきている今、SMも競争力向上のための取り組みに本腰を入れなければ、待っているのは“淘汰”の2文字だろう。もはや「生鮮を扱っている」だけでは差別化にはつながらなくなっているし、EDLPを含め価格政策の見直しも急務だ。
“コロナ後”の世界を生き抜くためには、フード&ドラッグという新たな強敵の正体を正しく分析し、自社のあるべきポジショニングを見直しながら、競争戦略を実行していく必要がある。