プロセスセンター開発など生鮮強化するゲンキー、藤永賢一社長が語る、これからの急成長戦略!
本部を置く福井県のほか岐阜県、石川県、愛知県でドラッグストア(DgS)を展開するGenky DrugStores。同社は売場面積300坪の店舗を標準フォーマットとし、直営の生鮮売場の展開や、生鮮のプロセスセンター(PC)の開発など、食品強化型DgSの中でもとくに生鮮販売にこだわりを持つ企業だ。さらに直近ではEDLP(エブリデー・ロープライス)の取り組みにも本腰を入れ、新型コロナウイルス(コロナ)禍でも大きな支持を集めている。コロナ禍を経た今後の成長戦略について、藤永社長に展望を聞いた。
食品需要増と節約志向が大きな追い風に
──コロナ禍で先行きが不透明な状況ですが、足元の経営環境をどう分析しますか。

藤永 これまでを振り返ると、われわれを取り巻く消費環境は3カ月ごとに変化していると感じています。
まず、感染拡大が顕著になった4月から6月にかけては、マスクや消毒液といった衛生用品の需要が急増し、それらを買い求めるお客さまの行列ができるという一種の異常事態でした。その後7月から9月までは、いわゆる“巣ごもり需要”で、食品を購入される方が増加、10月以降も依然として食品の売れ行きが好調ですが、景況感の悪化もあり、節約志向がより強まっている印象です。
経営面では、コロナ禍での需要増で足元の売上高は前年を大きく上回っており、直近の21年6月期第1四半期(20年7~9月)の既存店売上高は対前年同期比11.1%増と2ケタ成長を遂げることができました。
──ここ数年取り組んできた、生鮮を含む食品強化の戦略が奏功したかたちですね。
藤永 20年6月期の食品の売上高構成比は、前年同期からさらに1ポイント増の62.2%まで拡大しました。コロナ禍で食品の需要はとくに高まったので、われわれならではの商品構成が業績によい影響を与えたことは間違いないでしょう。
ただもう1つ要因はあって、昨年8月10日からEDLP(エブリデー・ロープライス)をスタートしたことも大きいとみています。これは食品を中心に単価を引き下げることで、客数・来店頻度の増加と買い上げ点数の向上を図るねらいです。
──コロナ禍で消費者は価格に対しよりシビアになっています。EDLPの導入範囲は広げていく考えですか。
藤永 今年5月からは、日替り特売をさらに抑制し、これまで以上にEDLPを追求する戦略をとっています。これは、お客さまの「デスティネーションストア」になるために、「ディスカウント」をわれわれの強み・特徴として明確にするためでもあります。
実はコロナの感染拡大が深刻化するなか、私はある出来事に対し危機感を抱いていました。それは、政府や自治体の要請もあって、食品スーパー(SM)各社がチラシやスポットの販促セールを抑えつつ、一部商品の価格を引き下げる動きが見られたことです。仮にこのスタイルが定着し、ほとんどのSMがEDLPを志向するようなことになれば、競争環境はとてつもなく厳しいものになっていくだろうと危惧していたのです。しかし、その後は徐々に通常の販売形態に戻っていったSMが多く、杞憂に終わりました。そうしたなかでわれわれは今後も、EDLPを追求し続け、地域の人々の暮らしを豊かにしていきたいと考えています。





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