崩壊へ進むアパレル業界を救う「最後の戦略」提言 合従連衡による「マルチプラットフォーム戦略」とは

河合 拓
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ファンドとアパレルの
コミュニケーションツール、4KPIとは

アパレルイメージ
4KPIを使えば、アパレルは決して博打ではない

 話をアパレル企業に戻す。もはや借り入れも限界となり、存続する価値のないアパレルは金融機関のデューディリジェンス(企業価値算定)によって、「潰す」か「営業活動を続けるか」の二択を迫られることになる。当然、投資マネーが向かわない企業は、「潰す」選択をされる可能性が高い。

 しかし、「この企業はまだまだ伸びる」と判断されれば、投資マネーはその企業に向かう。これを利用するわけだ。

 だが、金融業界の人達は、金融のプロだが事業は素人。ましてや、大手アパレル企業のトップに「うちの業績は『天気』と『トレンド』でアップダウンします」、などと真顔でいわれれば信じてしまう。そして、バッサリと赤字事業を切り取ってしまうわけだ。アップサイド(売上)変数を論理的に説明できないため、両者の間でコミュニケーションがまともにとれないのである。

 こうした悲劇が何度も起こらないよう、私は4KPI」という業績評価指標と測定方法、および運用の標準形を自分自身で開発し、この指標で数多くのアパレル企業を救済してきた。この「4KPI」については、78日発売予定の私の2作目の著書で克明に記し、アパレルは決して「博打ビジネス」ではい、このようにオペレーションを評価すればよい、ということを、あやまった活用事例も含め克明に記した。アパレル企業へ投資を検討している金融機関の方やアパレルの方は是非手にとって読んでいただきたい。

マルチプラットフォーム戦略の本質

 私の20年の戦略コンサルタントの経験から言えることは、アパレルビジネスは決して「博打ビジネス」ではないということだ。この4KPIとライトオフ期間の二つを使えば、必ず黒字になるし、私は50社以上のアパレルにこうした改革を行ってきた。

 つまり、アパレル企業に残された戦略とは、まさに「勝てる戦略」を持つことである。相手が外資だろうがなんだろうが、結局は儲かれば良いわけだ。

「勝てる戦略」とは、今までのように誰かに忖度をしたり、「天気」と「トレンド」で説明するようないい加減なものであってはならない。もっと科学的に、そしてロジカルに戦略の絵を描くことである。

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