崩壊へ進むアパレル業界を救う「最後の戦略」提言 合従連衡による「マルチプラットフォーム戦略」とは

2020/06/02 05:55
河合 拓

危機的状況にあるアパレル。アフターコロナの様変わりする時代を生き抜くための戦略が、マルチプラットフォーム戦略だ。今回、なぜこの戦略が必要なのか、そしてこの戦略の全貌を、前編後編の2回に分けて解説したい。

Cindy Bissig / iStock
Cindy Bissig / iStock

アパレル業界2万社の半数が、破綻寸前!?

 前回、レナウンの破綻について、私は以下のように推論を展開した。これはコロナのせいでなく、(失礼な言い方だが)同社は既に死に体だったということ。それは、金融の論理からいえば、「経営を更迭しても古いビジネスモデルは変わらなかった。これ以上営業活動をしても事業毀損が進むだけで、その資産価値を目減りさせるよりは、いま潰してしまった方が傷は浅い」と判断したのではないか、と。

 なぜ私がこうした視点を持つに至ったかといえば、私自身がアパレル企業のデューデリジェンス(企業価値算定)を、恐らく日本で最も多くやってきた人間の一人だからだ。もちろん親会社である山東如意がM&A(合併・買収)を節操なく繰り返して経営が悪化し、子会社救済どころでなくなったという事情もあっただろう。日本でも、信じられないほどのM&Aを乱発し、大きな赤字をだした企業があったことは記憶に新しい。
 コロナとは全く関係なく、レナウン破綻のカウントダウンが始まっていたのだ。

 話はここで終わらない。大事なことは、これはレナウンに限った話ではないということだ。日本のアパレル企業は約2万社ある。概算だが、2万社の半数近くが、金融機関の過剰融資によって、なんとか生きながらえている状況だと、私は考えている政府による企業救済の政策も実態を知らない“焼け石に水”に過ぎず、アパレル業界では年商100億円の企業でさえ毎月2~3億円というキャッシュが溶けている状況だ。金融機関や親会社が「潰した方が傷は浅い」と考えるのも当然の状況だ。

 そんなアパレル企業を救済しようと思えば天文学的な金額になる。さらに外食産業をはじめ主だった産業を救済するとなれば円の価値は急落し、物価は上昇していく。その結果、外資企業による企業買収がますます加速することになるだろう。要は、アパレル企業には、もはや破滅の道しかないのである。

 そうした中、私はアパレル業界、いや日本経済を救うために、感染者を黒、非感染者を白、どちらか分からない人をグレーに分類した上で、問題となる「グレー」の人が白か黒かを「見える化」する戦略を提唱した。そのために「コロナ潜伏期間は2週間だから、国民に1ヶ月限定で動きを止めよ、そうすれば1ヶ月で問題が解決できる。国家破綻の危機が迫っているのだから超法規的措置をとり可及的速やかに実行すべきだ」と説明した。

 しかし、「民主主義国家でそんなことはできない」「できないことを言うな」といわれ、NewsPicksでは、「こんな低レベルのアナリストがいるからアパレル業界はダメなのだ」と散々にこきおろされた。

 しかし、今になって企業倒産と解雇が増え、私が予想した通り、「経済損失60兆円」か「50万人が死ぬ」、のいずれかの道を進んでいる。それにもかかわらず昨夜(本稿執筆は530日)の「朝まで生テレビ」では、田原総一郎氏が「(外出禁止令などの発令は)戦時中に戻るから反対だ」という。結構である。そこまでの信念に裏打ちされた発言ならば「グレーの人」に街を自由に歩いてもらえば良い。私も日本国民として心中しよう。

 だが、私に対して向けられた批判には、そこまでの信念は感じられず、むしろ「そこまでの思慮はない」と感じている。ようは、今は匿名による発言が自由になったため日本人総評論家時代になったのだ。いずれ第二波が来るのは明白だ。

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