ユニクロの新ライン、「ユニクロ:C」が天下統一ブランドとなる理由

河合 拓 (代表)
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ユニクロトップ交代の意味

 8月28日、株式会社ユニクロの社長に塚越大介取締役が91日付で就任すると発表した。これを見て、アパレル業界に詳しくない人は、いよいよ柳井氏交代かと早とちりしがちだが、実は、ファーストリテイリングの子会社に、株式会社ユニクロという会社があり、そこの社長に塚越氏が就任したという意味だ。同社は2年前の決算発表からグローバルエリア別に意思決定権限を分散化させるなど、大企業病予防をしつつカリスマ経営者である柳井氏に変わるトップを育ててきた。かくいう私自身も、丁度一年前の同社の分析で、縦(ブランド別)、横(エリア別)に権限予算を持たせ意思決定のスピードを速めてゆくだろう、そして、これは徐々に柳井氏への権限集中化を分散化させるアントレプレナーシップ維持の一巻であることを予測していた。https://diamond-rm.net/management/244267/

  私は、心から柳井氏を尊敬する信者の一人であり、柳井氏語録で重要と思うものはノートにつけてあるほどだ。そのノートを見返すと、過去「早すぎるトップ交代」で苦い経験をもっているため、今回のサクセションプラン(経営トップなどを交代するときに使う経営用語)は慎重に数年がかりで進めたのだろう。日本と海外の売上利益を逆転させ、時価総額では業界で一時世界一位になるなど柳井氏の功績は言わずもがなだ。それだけでなく、同社はアパレル業界やリテール業界のあちこちに経営人材を輩出する人材輩出企業としても日本のリテール、アパレル業界に果たした功績は常人の域を超えているように思う。そして、時を同じくしてユニクロの新ラインとして世に出たのが「ユニクロ:C」だ。今回はこのユニクロ:Cの持つ重要な意味合いについて、ファーストリテイリングの考え方、進化の歴史を通して解説を試みたい。

 私もまだじっくり売場を見たわけではないので、自身が綴ったユニクロの軌跡を追いながらこの新ブランドの意味を考えてみた。くどいようだが、本稿は私自身の個人的、かつ、初期的な感想であり、何かのファクトに基づくものではないことをお断りしておきたい。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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