EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販

河合 拓
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今回は、カタログ通販の現状と将来のシナリオ、そして、私からの提言を行いたい。今回、カタログ通販を選んだのは、優勝劣敗が激しい市場だからだ。例えば、私が2016年から約6年、戦略コンサル支援と社外取締役をやっていたスクロールの2023年3月期決算は、売上が810億円で営業利益が61億円、売上高営業利益率は7.6%ある。ベルーナの売上は圧倒的で23年3月期で2123億円もあるが営業利益は112億円で、売上高営業利益率は5.3%とスクロールと比べ見劣りする。次に千趣会だ。上場カタログ通販大手として有名企業であるが、こちらはかなり深刻で22年12月期の売上は589億円で、営業損失が▲81億円もある。この3社が三大大手カタログ通販だが、私は彼らと深く絡んでいるため、また、上場企業ということもあり、あくまでも一般論として総括することをお許し頂きたい。

Liudmila Chernetska/istock
Liudmila Chernetska/istock

カタログ通販の歴史と市場環境の急変

 カタログ通販のビジネスを理解するには、その歴史と課題を明らかにする必要がある。カタログ通販というのは、まだECが一般化する前に、個配といって自宅に商品を運んでくれる、または、誰かの家にまとめて配達して、みなで仕訳する「共同配送」というのが、一般的だった。当時は、リアル店舗で買うしかオプションがなかった一方、店数そのものは多くなかったので、自宅まで運んでくれるという利便性をカタログ通販企業が幅広くカバレッジするかたちで提供していたわけだ。

 例えば、カタログ通販企業といえばその代表的な企業にニッセンがある。ニッセンはアドバンテッジ パートナーズの傘下に入り再建を目指すも、現在はセブン&アイ・ホールディングスの傘下に入っている。このニッセン、昔の消費者が持つイメージは「安かろう、品質はまあまあ」というポジショニングだった。

 また、「セシール」といえば下着であった。当時の女性は人前で下着を買うなど、大和撫子として恥ずかしく黒いビニールにつつまれた下着を「セシールさん」に頼むというのが、ポジショニングだったのである。さらに、ランドセルのムトウ。これが、これからのEC事業にSPAでの算入を試み、名前を「スクロール」に変える。私は、当時の堀田守会長を心から尊敬しているのだが、このCIだけは失敗だったと思っている。上記の通り三大カタログ通販でもっとも収益力が高い企業は「スクロール」だということをいま、一体何人の人が知っているのだろうかということだ。

  いずれにせよ、スクロールは生協市場で事業を展開。化粧品会社などを次々と買収し、また、60歳以上のシニア市場に最も早く進出したのも同社である。これらの戦略はいうまでもなく、会長に頼まれ私が創ったものだが、当時の株価をみて頂ければ分かるが3倍近く上がっている。

 次に「千趣会」である。この会社は大阪の名門企業で、神戸大卒や同志社、関西学院大卒など高学歴の人間が集う大阪の名門企業である。同社は、いわゆる総合通販で、子供服がもっとも強く存在感をだしており、家具、雑貨まで幅広くカタログ通販を行ってきた。今、三大カタログ通販企業で、最もダメージを受けているのは同社だ。

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