百貨店の好調続く、M&A増えるも再建型は消滅へ 「2024年アパレル業界大予想」

河合 拓 (代表)
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2024年は、元旦から能登半島地震、2日はJAL機炎上と辛い事件が続いた。一方、そうした事件をあざ笑うかのように株価は4日連続(本稿執筆は1月12日)で最高値を更新し、バブル期に迫る勢いだという。明暗入り交じる状況の中、アパレル業界の状況はといえば、百貨店の売上がインバウンドを背景に好調を続け、それに伴い百貨店アパレルも好決算を迎えた。こうした中、2024年のアパレル業界はどうなってゆくのだろうか。24年度の産業界の予想をしてみたい。

Marut Khobtakhob/istock Marut Khobtakhob

広がるM&A
再生型案件激減の理由

 本連載で何度も紹介した中国シーイン、韓国Dholicなど、激安アパレルがZ世代をしっかり握り、次世代のセンターポジションを狙ってきた。報道によれば昨年末、シーインは米国で上場申請をしており、早ければ24年の今年、シーインの巨大上場を目の当たりにすることができるだろう。

 次に日本のアパレルはどうだろう。日本の中価格帯アパレルは、ファーストリテイリングを除き、日本人と一緒に老齢化している。つまり高齢者相手の商売を続けているわけだが、100億円程度のブランドがごまんと乱立する現在のアパレル市場の整理整頓が進むことになるだろう。具体的には、ファンドや中国資本によるM&A(合併・買収)だ。23年は、象徴的な事件としてマッシュスタイルホールディングスをベインキャピタルが2000億円という破格の値段で買収したが、このような動きは活発化することだろう。

 実際、私は昨日、某ファンドに呼ばれアパレル産業の話をしてきたが、彼らは「アパレルの案件が増えてきています」といっていた。M&Aは固い守秘の扉に守られ、決して表に出ないが、私たちのような職業は、あちこちで「買う」「売る」の話に翻弄されている。今年のM&Aの特徴は、「ターンアラウンド(事業再生)が少ない」というものだ。これは、過去の統計をみればわかるのだが、結局M&Aで成功するのはそもそも成長する種をもっている企業であり、その使命を終えた衰退企業を立て直すターンアラウンドはほとんどなくなってきているし、ファンドも避けるようになってきた、ということなのである。

 また、異業種のM&Aも増える。アパレルが飲食業やコスメ企業を買うなどの異業種統合、また、小売がアパレルを買う、アパレルが商社を買うなど垂直統合も進むだろう。産業末期にはさらなるダブルコストを下げるため、垂直統合が増えるからだ。このように、先進的アパレルは社長室にM&Aの専門家を招聘しM&Aを強化しようとしている。この3年でアパレル企業はまったく異なるビジネスモデルをひっさげる形になるかもしれないが、その最初の年が今年というわけだ。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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