ソフトバンク、ヤフーの新流通革命4「アマゾンと楽天さえあれば買い物は十分」な時代 ヤフーの周到かつ唯一の戦略とは!?

2019/12/04 06:00
河合 拓

「ソフトバンク、ヤフーの新流通革命」オンライン特別編集版、第4回。流通業界において、ソフトバンクグループ(東京都:以下、SBG)の孫正義会長兼社長を頂点とする“ソフトバンク陣営”の存在感が大きくなってきている。第3回はネットガリバーの戦略を読み解くとともに、ECの分野で後発企業がどのように参入すべきかをまとめることで、後発ヤフーが打つべき手を浮き彫りにしたい。本論考は筆者である河合拓氏が、ターンアラウンドマネージャーとして20年の経験と、30年の小売事業の経験が元になっている分析仮説である。(第5回は12月5日に公開)

ECの戦いから、リアル含めた総合戦へ

 私は、10月29日公開のダイヤモンド・チェーンストアオンラインで、「2020年はTOB元年となる」と予言した(「ZOZO買収」後の世界を読む ヤフーも楽天もリアル店舗買収に進むこれだけの理由)。その理由は、縮小する市場で売上を上げるためには、すでに売上をもっている企業と提携をするか買収をする以外に方法はないからだ。今回のヤフーとLINEの件についても、消費者から見て決済や携帯キャリア、ECや金融など重複機能が多く、これらを一つにまとめて顧客データを統合することは、きわめて理にかなっており、さして驚く話ではない。これからも、同一機能を持つネット企業の統合やM&A(合併・買収)は進み、巨大帝国構築に向けた戦国時代の幕開けとなるというのが本論考の趣旨だ。

 しかし、こうした重複機能の一体化には限界があるし、自助努力で成長した企業と比べ、つぎはぎだらけの企業は、結果的に当初描いていたとおりの帝国構築にはほど遠い姿になるのが通例だ。

 また、企業の文化統合は、医療の臓器移植のようなもので長い年月をかけて融合していくものである。ヤフーとLINEの統合は、彼らを瞬間的に国内ネット企業として日本一の売上に押し上げるが、後述する技術連携の課題もあり、真の帝国になるにはまだまだ時間がかかるというのが私の見立てである。したがって、これからのネット企業は、重複機能を一本化し、顧客データを統合するエクスパンド型のM&Aが増えていくが、M&Aにより売上は上がるものの、収益化に成功するわけではない。こうした統合戦略を成功に導くためには、これら企業群が持つ技術やサービスについて、そして、EC戦略の理解が必要である。

 まずはインターネットの世界における戦い方を正しく理解することから始めよう。
1996年、「Yahoo! JAPAN」(以下、Yahoo!)は日本で、検索サービスとしてインターネットの世界に華々しくデビューした。当時のYahoo!の検索サービスは、「ディレクトリ型」と呼ばれた階層構造で、1日に20億PV、登録サイト数80万以上もあるサービスだったが、このディレクトリ型検索エンジンは、18年に終了となった。

 Yahoo!検索サービスを地獄の底へたたき落としたのはGoogleだった。「ディレクトリ型」というのは、人間がものごとの整理に使う考え方で、大きな箱の中に、徐々に小さい箱を入れ、最後に目的のものにたどり着くというものだ。これに対して、Googleはデビュー当初から「ロボット型」と呼ばれる、まさに人智を超えた検索エンジンとも言え、その精度は「ディレクトリ型」を圧倒するものだった。

 「ロボット型」というのは、簡単にいえば、広大なインターネットの海原を人間ではなく、ロボット自ら泳ぎまわり、サイトを見つけては、類似するサイトや異なるサイトを自ら仕訳し、24時間365日休みなく宇宙遊泳のようにネット世界を泳ぎ回り、検索サイトを自動でつくり上げる仕組みである。

 結局、Yahoo!もその技術を活用せざるをえない状況に追い込まれたわけだが、「Googleが存在感を出したのは、単に検索精度がYahoo!より高いから」という一般通説とは異なる見立てを私はしている。

 それよりも、ネットの世界における戦い方に対する理解と正しい戦略があるかどうかの違いだったと考える。

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