経営幹部の意見を一蹴!Z世代の声からつくった「キラキラドンキ」が絶好調の理由

取材・文:松尾 友幸 (ダイヤモンド・チェーンストア 記者)
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コンセプト決めからZ世代が関わる

 東京の一大観光地、お台場。そんなお台場エリアの代表的な商業施設である「ダイバーシティ東京 プラザ」の2階にキラキラドンキの1号店は出店した。外観にはクリーム色をベースにパステルカラーのポップなデザインがあしらわれており、店舗名はピンク色。既存のDSの黒と黄色を基調とした配色とは、一線を画す見た目となっている。

 キラキラドンキは10代~20代前半のZ世代をターゲットにしたドン・キホーテの特化型業態。同社は21年5月にオープンした「お菓子ドンキ」「お酒ドンキ」を皮切りに、「驚辛ドンキ」「コスメドンキ」など新業態を次々と開発している。キラキラドンキは5つめの特化型業態となる。

 そもそもドン・キホーテはなぜこのような特化型業態の開発に取り組んでいるのか。その背景には、主力業態であるDS「ドン・キホーテ」のマンネリ化がある。広報担当者は「とくに都心の店舗は、顧客にとって以前のような“尖った店”ではなくなりつつある」と話す。もう一度カテゴリーを深掘りした嗜好性の高い店をつくろうという既存店の取り組みと一緒に始まったのが、一連の新業態開発だ。

 こうした専門店の中でもとくに好調なのが、お菓子ドンキとコスメドンキだ。新業態開発がスタートして約1年の間に、お菓子ドンキは3店舗、コスメドンキは2店舗をオープンしている。「この2業態を組み合わせて新たな店舗ができないか」という発想に、Z世代というキーワードを掛け合わせて生まれたのがキラキラドンキである。ドン・キホーテの来店客には、若い頃から長年利用しているコアファンが少なくない。未来の顧客を今のうちから確保しておくという観点からも、現代の若者に支持される店づくりが今一度必要だという考えに思い至ったのだという。

 キラキラドンキは、そのコンセプトから商品の仕入れ、売場づくりに至るまでZ世代の意見を多分に取り入れていることが最大の特徴だ。「インターネットやSNSで情報があふれ、移り変わりも激しいなかで、正直何がトレンドなのかつかみきれない部分がある。そうなると、Z世代に直接聞いたほうが早い」(広報担当者)。

 たとえば、店舗名を決める際、当初は「女の子の好きな流行のものがたくさんある」というイメージから「ガールズドンキ」「レディースドンキ」「乙女ドンキ」のような名称が経営幹部層から挙がっていた。ところが実際にZ世代のスタッフに意見を聞いてみると、「自分だったらそんな店には行かない」と一蹴されたという。Z世代にとっては、ジェンダー的に差別的な印象を与えるこうしたネーミングはナンセンスだというわけだ。「テレビなど影響力のあるメディアから受動的に情報を得ていた上の世代と異なり、インターネットやSNS上の膨大な情報の中から既存の価値観に左右されず、自分の軸に合うものを主体的に探しているのがZ世代」(広報担当者)とのことで、性別や商品カテゴリーの区分は判断基準にはならない。あくまで「自分にとって価値のあるもの」を総称して、“キラキラ”というネーミングに落ち着いたという。

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取材・文

松尾 友幸 / ダイヤモンド・チェーンストア 記者

1992年1月、福岡県久留米市生まれ。翻訳会社勤務を経て、2019年4月、株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア入社。流通・小売の専門誌「ダイヤモンド・チェーンストア」編集部に所属。主に食品スーパーや総合スーパー、ディスカウントストアなど食品小売業の記者・編集者として記事の執筆・編集に携わる。趣味は旅行で、コロナ前は国内外問わずさまざまな場所を訪れている。学生時代はイタリア・トリノに約1年間留学していた。最近は体重の増加が気になっているが、運動する気にはなかなかなれない。

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