楽天、KKR共同で西友買収 ウォルマート、実質日本撤退の背景と早くも焦点になる出口戦略

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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投資ファンドのKKRはいずれ西友株を売却する

 今後、西友はKKR、楽天の下でどう事業を展開していくのか。西友が発表したところによるとネットスーパーを軸とした、オンラインとオフラインを融合した「OMOリテーラー」をめざし、構造の転換を図っていくという。

 西友のネットスーパー事業は国内流通業のなかでも先駆けだった。今から20年前の2000年に立ち上げている。

 この20年の蓄積を活用し大株主となる楽天との協業を進めていく方向だ。すでに、西友は楽天とも「楽天西友ネットスーパー」を立ち上げており、楽天自体もOMOへのアプローチを活発化させている。

 多くの実店舗を持つ小売業や外食チェーンと提携しOMO体制に向けた下地は整えている。

 この楽天との協業でノウハウを蓄積できれば、将来西友のOMOへの道も開けてくるとみられるが、その前に西友は実店舗を活性化することの方が焦眉の急だ。

 西友は現在のところ、安売りを強める食品スーパーという見え方だが、それも消費者に明確に訴求できているかどうか。

 改めて食品スーパーとして品質と価格という商品政策上の位置付けを鮮明することが大事だろう。

 楽天とともに西友に出資するKKRは投資ファンドだから、将来的には西友の投資から出口戦略をとることになるとみられる。

 だが、このKKRの出口戦略の際に、楽天がKKRやウォルマートの持ち分を買い取って、西友への出資比率を高めるかどうか。あるいはKKRが他社に西友株を売却するか、もしくは再上場というかたちがとられるのかが早くも焦点となる。

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