3年で260億円投資するH2OリテイリングのDX戦略とは
中核とする百貨店に加え、3社統合で関西圏屈指のスーパーマーケット(SM)事業規模を持つに至ったエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長:以下、H2O)。性格の異なる業態を複数展開するなかで、デジタル・トランスフォーメーション(DX)を通じて、どのように企業変革を進めていくのか?

「コミュニケーションリテイラー」とは
H2Oは2030年に向けた「長期事業構想2030」で、グループがめざすビジネスモデルを「コミュニケーションリテイラー」と定義している。デジタル技術とリアル店舗を融合させて顧客とのダイレクトな接点を創出し、その関係をより強く継続的に深化させ、顧客を起点としたさまざまな商品やサービスを提供してビジネス化し、持続的な成長につなげる戦略だ。

コロナ禍では、個人の消費行動や働き方においてデジタル化やオンライン化が一気に進み、顧客接点がリアル店舗からデジタルへとシフトした。テレワークの定着などに伴って都心部への人流が減少し、都心立地の優位性も揺らいでいる。同社執行役員IT・デジタル推進室長の小山徹氏は、「H2Oはリアル店舗を強みとするがゆえにデジタルでの顧客接点が遅れた。ECやネットスーパーなど、多様な購買チャネルの選択肢をお客さまに提供するうえでも対応に遅れがあった」と振り返る。
23年度までの「中期経営計画」では、OMO(オンラインとオフラインの融合)を推進して主力の百貨店事業の再建を図るとともに、食品事業を「第二の柱」と位置づけ、傘下のSMで徹底的な業務効率化や生産性向上に取り組む方針を示している。また、グループの基軸である「関西ドミナント化戦略」のもと、デジタルを活用した新規サービスの創出、顧客データのプラットフォーム化とこれをベースとしたB2B事業への展開など、関西圏1000万人規模の顧客基盤を活用した新たな事業モデルの創出にも挑戦していく。

3年で260億円投資 DXを進める
「コミュニケーションリテイラー」をめざすためには
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