富澤商店のEC化率は3割!店の価値高め購入につなげる先端のSNS戦略とは

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1919年創業で、製菓・製パンの材料・器具専門店を約80店展開する富澤商店(東京都/富澤淳社長)が2023年11月24日、「富澤商店丸ビル店」(東京都千代田区:以下、丸ビル店)をオープンした。同店はライブ配信用のキッチンを導入し、国内外に向けた情報発信に注力している。同店の特徴と、富澤商店が取り組むSNS戦略をレポートする。

訪日観光客や男性も、客層開拓を図る品揃え

 丸ビル店がオープンしたのは、JR「東京」駅直結の商業施設「丸の内ビルディング」内の地下1階。売場面積は約90㎡で、小麦粉やパン粉といった粉類や、トッピング、チョコレートなどの製菓・製パン材料、調理器具、ラッピングなど約2700品目を扱う。小型店ながら、商品棚を通常より1段高くすることで、同規模既存店より3割ほど品目数を多く揃えている。

「富澤商店丸ビル店」
2023年11月24日にオープンした「富澤商店丸ビル店」。写真左側のスペースが、ライブ配信用のキッチン

 同店では、品目数が多いぶん、粉類やチョコレートといった人気商品の品揃えの幅を広げて提案力をアップさせたとともに、新しい客層の開拓を図るための商品群を充実させている。

 「富澤商店」の中心客層は30~40代の主婦だが、丸ビル店では、周辺企業で働くビジネスパーソンをメーンターゲットに設定。それ以外にも、製菓・製パンの初心者や男性などにも来店してもらえる店をめざしている。

 たとえば、季節のイベント向け商材を豊富に揃えている。取材した23年12月下旬は、ケーキやクッキー用の型やデコレーションなどのクリスマス商材や、栗の甘露煮やだし、餅などの正月向け商材を訴求していた。

季節のイベント向け商材
季節のイベント向け商材を豊富に揃えている。取材した23年12月下旬はクリスマス商材を通行者から最も目にとまる場所で訴求していた

 初心者でも簡単に菓子づくりに挑戦できるキット商品の販売にも注力している。富澤商店のオリジナル商品で、菓子をつくるための食材から、使い捨ての型紙、さらにはラッピングアイテムまでセットになった商品だ。菓子の種類は、カヌレやシュトーレンといった昨今トレンドになっているものが中心。とくにシュトーレンのキットは、テレビ番組でシュトーレン特集が放映された効果もあってか、売上が昨年比で2.6倍に伸びているという。

キット商品のなかでも人気の「シュトーレン」
キット商品のなかでも人気の「シュトーレン」。売上は昨年比で2.6倍に伸びている

 また、男性客にも興味を持ってもらえるように、スパイス類を出入口からすぐの位置に陳列している。日常の食宅に気軽に取り入れられる商品を扱うことで、ふだん製菓・製パンになじみのない人にも入店してもらうための工夫だ。

 丸ビル店がねらうのは、

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取材・文

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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