イオンのDSパレッテ鳶尾店を徹底分析!PBとオリジン導入で、多店舗化の準備着々か?

解説:鈴木 國朗(アイダスグループ)
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イオン(千葉県/吉田昭夫社長)が密に出店を進めているディスカウントストア(DS)の新業態「パレッテ」。2020年12月に1号店の「高座渋谷店」(神奈川県大和市)を開業した後、出店を重ねて現在5店舗体制を構築している。22年1月に5号店としてオープンした最新店「パレッテ鳶尾(とびお)店」(神奈川県厚木市:以下、鳶尾店)を中心に、直近のパレッテの店づくりを解説する。

単独での集客力が試されるエリアに出店

 パレッテは「新生活様式に対応した未来型ディスカウントストア(DS)」を掲げ、新型コロナウイルス感染拡大下でイオンが開発した新業態だ。低価格を実現するべく、初期投資やランニングコストを抑えた店舗設計とともにローコストオペレーションを追求している。また来店動機の創出を図るべく、インストアベーカリーや小型家電・雑貨をはじめとした非食品コーナーも導入するなど、アルディ(Aldi)やリドル(Lidl)といった欧州のハードディスカウンターの先進的な店づくりを取り入れた店舗開発で業界の注目を集めている。基本的に看板や商品において「イオン」グループであることを前面に打ちだしていない。従来にとらわれず、新しい業態開発に挑戦していると考えられる。

「パレッテ鳶尾店」
22年1月にオープンした「パレッテ鳶尾店」(神奈川県厚木市)

 パレッテは2020年12月に1号店を開業後、21年4月に「下末吉店」(神奈川県横浜市)、5月に3号店の「大和鶴間店」(神奈川県大和市)と、2、3号店を立て続けに出店。そして21年12月に「愛川中津店」を、22年1月に「鳶尾店」を開業している。

 4、5号店の出店までに約半年の期間が空いたわけだが、その店づくりに変化はあるのだろうか。最新店である「鳶尾店」を中心に見ていこう。

 鳶尾店は、小田急電鉄「本厚木」駅から北西約7.5㎞の国道412号沿いにある。マルエツ(東京都)の食品スーパー(SM)「マルエツ鳶尾店」の退店跡地に居抜き出店している。近隣の競合店としては、北東約300mに生活協同組合ユーコープ(神奈川県)の「ユーコープ鳶尾店」、北西約1.2㎞に神奈川県で6店を展開するたからや(東京都)の「フレサ上荻野店」がある。また、北東約5kmには4号店の「愛川中津店」が営業している。愛川中津店については、居酒屋の閉業跡地にドラッグストア(DgS)の「クリエイトエス・ディー愛川中津店」とともにパレッテとして初めて居抜きではなく新規出店している。パレッテは出店コストが抑えられる居抜き出店を基本とするとみられてきたが、立地や物件によっては新規出店も行う方針のようだ。

 これまでのパレッテの大きな特徴の1つは、地域で集客力を発揮している店舗のすぐそばに店を構えてきたことだ。たとえば1号店の「高座渋谷店」の隣接地には「いなげや大和高座渋谷店」が、3号店の「大和鶴間店」の南東約400mには「イトーヨーカドー大和鶴間店」と「イオンモール大和」が並んで営業しており、競合店のついでに立ち寄るという利用を獲得してきた。

 これに対して5号店の鳶尾店は、特段の地域の集客エリアではない立地への出店で、パレッテの独自の魅力がいっそう問われるともいえるだろう。

●売場・商品印象
冷凍食品とともに即食商品を集約配置

 鳶尾店の売場面積は

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