尖った店づくりめざすベイシアが新PB「ベイシアプレミアム」を開発する理由とは

松岡 由希子 (フリーランスライター)
Pocket

ベイシア(群馬県/相木孝仁社長)は2023年3月、新たなプライベートブランド(PB)「Beisia Premium(ベイシアプレミアム)」を立ち上げた。「より良いものをより安く」というベイシアの理念のもと、高品質・低価格をさらに訴求する。同社のこれまでのPB(以下、旧PB)と比べて具体的に何が異なるのか、刷新した内容とベイシアが描く未来のビジョンに迫る。

認知度の低さが課題だった旧PB

ベイシア
ベイシア企業概要
●設立: 1996年11月
●資本金: 30億9950万円
●代表: 相木孝仁社長
●本社: 群馬県前橋市亀里町900

 ベイシアがこれまでに販売していた旧PBは開発基準が明確に定められておらず、商品部内の食品各部門に属しているマーチャンダイザーがそれぞれの裁量で商品開発していた。商品マーチャンダイズ事業部・事業部長の松尾大輔氏は「カテゴリーごとにナショナルブランド(NB)商品と調和しやすいパッケージデザインが優先されており、PB全体の統一感に乏しく売場で目立ちづらいため、お客さまからの十分な認知がない点が課題だった」と振り返る。

 近年ではPB商品に対する消費者ニーズが変化し、低価格を前提としつつ品質やおいしさといった価格以外の要素も重視される傾向がみられるようになった。こうした背景を鑑み22年1月、新たに「商品マーチャンダイズ事業部」を発足のうえ商品の開発基準を明確にし、価格と品質の優れたバランスを追求した新たなPBとして、このほどベイシアプレミアムが誕生した。

 同ブランドはふだん使いの生活必需品を対象に、NB商品よりも安価であることを前提としながら価格と品質のバランスに優れ、ベイシアが自信をもって顧客に勧めたい商品をラインアップする。同社はベイシアプレミアムの展開により「これほどよい商品がこんなに安く買える」といった驚きや喜びの体験をお客に提供したいとする。

 松尾氏は「ベイシアプレミアムの『プレミアム』は『高級』という意味ではなく、高品質と低価格を両立させる目利きとしての『プライド』と言い換えられる」と説明し、この共通認識を社内で持つことでインナーブランディングとしての役割も果たしているそうだ。

 続けて松尾氏は「ベイシアの理念が掲げる『より安く』は、『安かろう悪かろう』ではなく、品質や機能が基準を満たしていることを大前提としている」とPBの商品開発における基本的な考え方を示したうえで、「この考え方が置き去りにされていないかをあらためて問い直し、目利きとしてのプライドを持って、一貫した商品開発に取り組もうという結論に至った」と「Premium」に込められた真意と開発の経緯について明かす。

統一感が生まれた新PB、売れ行きは好調に推移

 23年3月以降、ベイシアプレミアム

続きを読むには…

この記事はDCSオンライン+会員限定です。
会員登録後、DCSオンライン+を契約いただくと読むことができます。

DCSオンライン+会員の方はログインしてから閲覧ください。

記事執筆者

松岡 由希子 / フリーランスライター

米国MBA 取得後、スタートアップの支援や経営戦略の立案などの実務経験を経て、2008年、ジャーナリストに転身。食を取り巻く技術革新や次世代ビジネスの動向をグローバルな視点で追う。

関連記事ランキング

関連キーワードの記事を探す

© 2024 by Diamond Retail Media

興味のあるジャンルや業態を選択いただければ
DCSオンライントップページにおすすめの記事が表示されます。

ジャンル
業態