ワールドとタッグでPB、ベイシアの衣料品改革の全貌とは

文:森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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ベイシア(群馬県/相木孝仁社長)が衣料品売場の改革を進めている。2023年10月に、アパレルメーカーのワールド(兵庫県/鈴木信輝社長)との協業で女性向けプライベートブランド(PB)「YORIMO(ヨリモ)」の展開を開始。効率的な売場運営の手法確立をめざしながら、今後も各年代に向けた新シリーズを順次展開していく意向だ。中期的には外部商業施設への出店も視野に、収益を確保できる事業への育成を図る。

衣料品専門店の「商店街」を築く

 ベイシアは現在、衣料品領域における戦略に「衣料品の商店街化計画」を掲げる。この計画は「お客が持つ悩みの解決」を商品開発の主眼に置いたブランドを性別、年代ごとにつくり、集客力のある衣料品売場へ生まれ変わらせるというプロジェクトだ。

 現在、ベイシアが運営する主力業態は、食品スーパー(SM)とスーパーセンター(SuC)だ。このうちSuCの既存店では、総売場面積の3分の1から4分の1にあたる400~500坪を衣料品売場として確保している。この広い売場を一気に刷新するのではなく、順次立ち上げるPBを核としたショップを徐々に広げ、新たな衣料品売場をつくるというのがプロジェクトの全貌である。

大型SuCを中心に、専門店のような店づくりを行う「ショップ化」を進める
大型SuCを中心に、専門店のような店づくりを行う「ショップ化」を進める。マネキンを使ったコーディネート提案にも力を入れている

 ショップ1つ当たりの広さは40~60坪を想定しており、将来的に収益性を見込むことができれば、このショップを外部の商業施設へテナントとして出店する計画も視野に入れる。

べイシア役員待遇衣料事業部事業部長の佐藤勝氏
べイシア役員待遇衣料事業部事業部長の佐藤勝氏

 ベイシアが「衣料品の商店街化計画」を立ち上げた理由について、ベイシア役員待遇衣料事業部事業部長を務める佐藤勝氏は「当社における食品の集客力は強く、老若男女あらゆる客層が集まってくる。このトラフィック(お客の流れ)を衣料品売場にも誘引できると考えた」と説明する。

 勝機を見出したきっかけは、コロナ禍を通じて消費者の購買行動が変化したことだ。外出を控え、足元商圏で買物をするライフスタイルが定着。それにより食品小売店の平場で展開する従来の衣料品売場とは異なる、魅力的な衣料品ショップを出店できれば、お客の購入習慣がつく可能性が高いと分析したという。

ワールドと協働の「YORIMO」始動

 「衣料品の商店街化計画」の先駆けとして

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森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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