8期ぶり黒字転換、経営破綻からビジョンメガネが復活できた理由
価値を訴求する売場づくり
同社が展開する店舗とはどのようなものだろうか。品揃え、売場づくりを確認するため京都市内にある京都堀川本店に足を運んだ。
同店を訪れたのは営業を開始した直後の午前10時過ぎ。すぐに年配のお客が相次いで来店、女性スタッフと会話する姿が見られた。固定ファンを多くつかんでいるようだ。また大学が多い京都の土地柄、学生の利用者も多いという。
入口すぐの場所に立って感じるのは、明るく、視認性の高い店内の雰囲気である。どこにどのような商品が並んでいるかをすぐに把握できる。売場づくりに目を向けると、通路沿いや壁面の目立つ場所にはオリジナル商品を陳列しており、品揃えの独自性を来店客に強く訴求していることがわかる。

おもな商品について触れると、独自ブランドの一例は「ケータイフレックス」。フレームに、ビジョンメガネが開発した柔軟性の高い合金素材を採用することで、強く曲げても壊れにくい特性を実現した。

創業者が発案した歴史ある商品で、販売数は累計66万本を突破したロングセラーである。陳列台にはメガネをぐにゃりと曲げて入れた透明のグラスも配置しており、価値を視覚に訴求する売場づくりを行う。
「MYDO(マイドゥ)」も、累計販売本数13万本を突破したベストセラー商品のひとつだ。メガネフレームの“つる”の部分を工夫、耳を包むように巻き付けてホールドする機構を採用、激しい動きをしてもずれないのが大きな特徴だ。“つる”の先端部分は長さが調整可能でぴったりと装着できる。商品の特徴を説明するPOPを配置するなど、来店客に強くアピールする。
「くすみのない目元へ導くメガネ」がキャッチフレーズの「華色(HANAIRO)」もユニークだ。髪の毛や肌、瞳の色などをもとに、4タイプの中からお客の「パーソナルカラー」に合ったメガネを揃える女性をターゲットにした提案型の商品だ。

このようにビジョンメガネは、競合店には並ばない商品を多く扱っていることがわかる。