キーワードは科学、製販統合!「無敵のユニクロ」を凌駕する「知る人ぞ知る」ファッション商品
ユニクロを凌駕する、知られざる商品たち

時価総額でアパレル業界世界一となったファーストリテイリング。その商品のコスパは、もはやいびつなサプライチェーンを温存し変革もできないアパレルが追い抜くことも、追いつくこともできないほど遥か彼方にいってしまった。私は、このサプライチェーン改革に人生を賭けようと思ったが、多くの既得権益により潰され、また、コンサルという立場上、改革の主体者になれないため、敗北宣言をし手を引くこととしたのはご存知の通りだ。
とはいえ、現実には今までの叡智を絞った、いわばユニクロを凌駕する商品は世の中には山のようにあることを消費者は知らない。理由は、圧倒的な「広告宣伝費の違い」から良品を作っても、「知る人ぞ知る」商品となってしまっているからだ。それだけユニクロが投下する広告宣伝費は桁違いなのだ。
今回は、「健全な競争こそが業界を発展させる」という私の哲学に照らし合わせ、自身が無類の“ユニクラー”であるも、自分自身が体験したり関わることで見つけた「ユニクロ以上」とも言える隠れた名品をご紹介したい。
なお、私はクリエイターではないので、デザインなどの秀逸性について「格好良い、悪いという」感覚的所見を述べるのでなく、科学的根拠を持って広く読者に推薦するものである。
奇跡の工場 オンワードホールディングスのザ・スマートテイラー大連工場

まず、最初にご紹介したいのはオンワード樫山の「カシヤマ ザ・スマートテイラー」を支えるスマートファクトリー大連工場である。
私は、2016年、日経新聞の私見卓見に「アパレル企業の余剰在庫極小化の決定打はトヨタJIT(Just in time)、受注生産である」と論じた。当時、周りの人からは「何をバカなことを言っている。消費者はお買い物をしたらその場で商品を持って帰らないとダメだ。まあた、半製品も持つのだろう、一緒だ」などと相手にされなかった。しかし、その後、店舗は「売らないお店」がオンワードだけでなく丸井、ZARAなどに広がり、店舗のあり方が再定義され、先進的な企業は店頭を少なくしショールーム化し始めている。考えてみれば、ウェブだけで勝負するAmazonは日本で1兆円を超える売上がある。「消費者は、当日に持って帰らないと満足しない」などという考えは、論理破綻していることになるだろう。
さて、樫山のスマートテイラーについて解説する前に、店舗を持つことがいかに余剰在庫を増大させるか説明しよう。
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