2021年秋・冬 新商品ヒットランキング、ニーズに沿った価値提案で新たな需要を取り込む

ライター:山田陽美
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減塩、無添加、低糖質・低カロリー
健康訴求商品は依然人気

 コロナ禍の内食機会の増加に加え、健康意識もますます高まっており、健康をキーワードにした新商品が目立つ。ハナマルキでは、同社伝統の製法である「追いこうじ製法」を採用した「無添加減塩

 追いこうじみそ」を新発売。熟成させたみそに「こうじ」を追加で配合し、再び熟成させることで、深いうま味や、お米由来のまろやかな甘みを実現。こうじを同社標準比の2倍配合することで、20%減塩でもしっかりとしたみその味わいと香りが感じられる。

 味の素の低カロリー甘味料の「パルスイート® 液体タイプ」も好調に推移。砂糖に近いコクとおいしい甘さが特長で、同じ重さの砂糖と比べてカロリー・糖質・糖類80%カットなので、カロリーや糖質にこだわりつつもおいしさも気になる層から人気を集めている。

 近年のあごだしブームのなか、理研ビタミンでは、食塩・化学調味料無添加の「素材力だし」シリーズから「焼きあごだし」を新発売。新たに開発した「長崎県焼きあご粉末」と、とびうおの旨みを凝縮した「あごエキス」を採用。同社和風だしの素「かつおちゃん顆粒」と比較して風味原料を約3倍使用した味わい深いだしとなっている。

食シーンや若年層への提案で、新しい需要を生みだす

 外飲みから家飲みへのシフトが加速しており、家庭内でさまざまなアルコール類を楽しむ人が増えている。サッポロビールでは、ビールユーザーが健康面や時間帯にとらわれず、気軽な気持ちで楽しめるビールテイスト飲料「サッポロThe DRAFTY」を新発売。麦芽100%生ビールを原料としたアルコール分0.7%の微アルコールビールテイスト飲料。ビールらしい味わいがリピーター獲得につながっている。

 そのほかにも新たな価値提案で需要を取り込んだ商品がある。日清製粉ウェルナでは、台湾の屋台で人気のフライドチキン「ジーパイ」を自宅で簡単につくれるから揚げ粉「日清 台湾風から揚げ粉ジーパイスパイシー系」を発売。鶏むね肉を1枚使用したインパクトのある大きさと、カリカリ・サクサクした食感は、若年層を中心にSNSで注目が集まっている。

 また、日清製粉ウェルナでは、お弁当用の「マ・マー いろいろ便利な」シリーズの「ナポリタン」を、パンに挟むアレンジメニューとして提案。コロナ禍でお弁当需要が減少し、冷凍お弁当用商品は厳しい状況だが、朝食のパン需要に対応した同シリーズは堅調に推移している。

 一方、丸大食品ではエコパッケージを採用した「切り落としロースハム」を発売。ハムは、使い切りの3連や4連の真空包装が主流になっているが、ゴミの減少を目的にエコパッケージを採用した。小分け包材の商品に比べ包材プラスチック使用量を50%削減。また包材に植物由来のバイオマスインキを使用した。エコ意識の高い若年層に加え、50代以上のコアユーザーからも、お得感がありどんな料理にも使いやすいと好評だ。

ロングセラーブランドのブラッシュアップが相次ぐ

 コロナ禍以前と比べて、買物頻度や滞在時間が減少し、必要なものだけを購入する傾向にある。そのため、誰もが知る定番やロングセラー商品を選択する傾向が強い。昨年秋・冬期はロングセラーブランドのブラッシュアップやラインアップの強化が目立った。

 マルサンアイでは、空気に触れづらい二重構造のボトルを採用した液状タイプみそ「だし香る鮮度みそ あわせ」をリニューアル。従来品よりも旨みの余韻が感じられるよう、製造工程における熱ダメージを抑える新製法を採用した。

 本場韓国のオリジナルスペックでつくられた韓国産キムチの大象ジャパンの「宗家キムチ」は、昨年9月に320gの販売を開始。本場の伝統製法に沿った乳酸菌発酵を経て製造されており、高い健康効果も期待できる商品だ。

 カンロでは、ロングセラー商品の「健康のど飴」シリーズをリニューアル。和漢素材を中心に同社が独自開発した「ホップ」などをブレンドした31種類のハーブに変更。着色料不使用で安心して暮らしに取り入れられるよう配慮した。認知度の高い定番商品やロングセラー商品はコロナ禍において根強い人気となっている。

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