DCMが島忠買収でホームセンター業界が玉突き業界再編か? 問われるスケールメリットの顕在化

椎名則夫(アナリスト)
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相次ぐ再編と新型コロナウイルス(コロナ)禍に伴う需要増大により、大きな脚光を浴びているのがホームセンターである。一方で気になるのが、そのスケールメリットを享受できているのかと言う点だ。そこで、規模拡大に応じて収益性が高まっているのかどうかを徹底分析した。果たしてどのような実態が浮かび上がるのか、そして、その理由は?

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ホームセンター業界に高まる再編のうねり

  2020年はコロナ禍でホームセンターが見直される年になっているが、ホームセンターが株式市場の注目を浴びる理由はそれだけではないことは読者の皆様がご承知の通りである。

  まず、6月に発表されたアークランドサカモト(新潟県、同社69日付け資料によれば」売上高業界11位)によるLIXILビバ(同6位)の完全子会社化方針、それに伴うLIXILビバ株の公開買い付けである。小が大を飲む再編で、統合後業界5位の売上規模を目指すディールだ。

  この案件を最初に目にした時、LIXILが事業再編を完遂しなければならないやむに止まれない事情が強く働いたのだと筆者は理解した。アークランドサカモトは規模面では業界上位には劣るもののホームセンター事業の採算は良好で、さらに子会社で「かつや」を運営するアークランドサービスも順調なことから、慌てて事業拡張をする必要は乏しかったものと筆者は考えていた。

  アークランドサカモトの場合、ホームセンター事業と外食というコングロマリット経営で、かつ親子上場になっているため、外部株主から中長期的な連結経営のあり方について投資家から活発な問いかけが行われてきたことは想像に難くない。これに対して、経営陣は親子上場の解消(アークランドサービスの分離ないし完全子会社化)というシンプルな回答ではなく、負債余力を活用したM&A(合併・買収)で経営の重心をホームセンターに寄せ、成長ストーリーを描き直すという回答を示したことになる。LIXILの事業再編ニーズと、コロナ禍による外食事業のリスクの高まりがまさにシンクロした案件であり、個別案件の要素が強いと筆者は考えていた。

 

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