増税後のイートイン、わだかまりのない利用促進策とは?

宮川耕平(日本食糧新聞社)
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イートイン利用客を前向きに開拓

カフェ機能単独での進化を目指すベイシア
カフェ機能単独での進化を目指すベイシア

 顧客にわだかまりがないからこそ、店側もイートインの利用をさらに促進するために積極的な施策を打てます。

 ヨークベニマルの総菜子会社であるライフフーズは、一部店舗で増税前からカレーやたこ焼き、ソフトクリームなどの軽食を提供していました。今春にはラーメンを追加します。提供方法は持ち帰り用の使い捨て容器ではなく、洗浄して再利用する丼です。増税前にはテイクアウト形式を強化する時期もありましたが、そうではなく、以前からの戦略テーマである「店で食べて帰る」という利用シーンの開拓に邁進する姿勢です。

 ベイシアのイートインスペースといえば、18年3月オープンの勝浦店(千葉県勝浦市)以降の店は、「ハナカフェ」というスタイルです。ベーカリー売場と一体で運営するのは他のチェーンと共通ですが、ベイシアの場合は吸収したフードサービス子会社のノウハウを継承し、ラーメンやワンプレートメニュー、ケーキ、豊富な飲料メニューなど、外食に近いサービス内容に特徴があります。

 橋本浩英社長は、「増税後も利用が落ちておらず、施策は成功」としています。

 20年3月6日にリニューアルオープンした前橋吉岡店(北群馬郡吉岡町)からはフレンチトーストとコーヒー、杏仁豆腐が付いて390円というモーニングセットを導入、利用シーンの拡大を図ります。

 イートインは一般的に、休憩ついでに飲食需要も取り込みたいというスタンスですが、ハナカフェは、イートインを利用するために来店してもらうことを目指しています。橋本社長の志は高く、「ハナカフェが来店動機になるようブラッシュアップしていく。最終目標はハナカフェの路面店を展開すること」と言います。

 繰り返しますが、総額を揃えることが良いと言いたいわけではありません。消費税2%分を飲み込むという処置は、税制に求められていないことです。それを企業があえてやる理由は、理屈だけではないようです。その処置には意図があり戦略もありますが、根柢には「思い」があります。ここでは、その「思い」から描くイートインの活用戦略に注目しました。

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