清掃業界の知見、ノウハウをもとに 省人化を実現する清掃ロボットを提案

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法人向けのロボット事業を立ち上げて約3年、アイリスオーヤマでは、清掃業務の省人化、コスト削減を実現するDX清掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」の導入を進めている。導入先企業、ヨークベニマル常務執行役員 開発室長 橋本修一氏を迎え、アイリスオーヤマのロボティクス事業における推進役、執行彼員BtoB事業グループロボティクス事業部 事業部長 吉田豊氏とDX清掃ロボット導入のポイントについて語り合いました。

業務委託先がロボットを購入、店舗清掃に運用する

吉田事業部長(以下、吉田) コロナの扱いが2類から5類へ移行され、小売業の現場の採用が以前より厳しくなったと言われています。その影響もあり、当社のDX消掃ロボット「Whiz i アイリスエディション」へのニーズが高まっています。御社にはいち早く店舗に導人いただきました。

吉田 豊 氏
アイリスオーヤマ株式会社
執行役員 BtoB事業グループロボティクス事業部 事業部長
吉田 豊 氏

橋本常務執行役員(以下、橋本) 当社では食品を扱ううえで、お客さまに快適にお買物いただくためにも店舗クリンネスはとくに重要ととらえています。そうしたこともあり、5年ほど前にWhiz の初期タイプを試験的に導入したことがあります。そのときは、まだ課題が多く、現場で活用するには時期尚早という印象でした。

 しかし、それからわずか数年の間に技術革新が進み、後継機種のWhiz i だと店内でお客さまがにぎわう日中の時間帯にも安心して稼働できるようになったのには驚きました。

橋本 修一 氏
株式会社ヨークベニマル
常務執行役員 開発室長 兼 サステナビリティ推進プロジェクトメンバー
橋本 修一 氏

従来の清掃業務を見直し、ロボット導入の効果を高める

橋本 私たちは食品小売業として、お客さまに安心して気持ちよくお買物をしていただくため、いろいろな取り組みに挑戦してきました。このスキームを成功させたポイントは、清掃業務のお取引先様と、私達共通の課題である人件費高騰・採用難・高齢化に対応するため、双方でチームを組んでトライ・検証を繰り返して仕組みを確立させることができたことです。その実現のためにAIロボット技術を提案して頂けたことに感謝しています。

 当社では清掃業務の会社9社と取引がありますが、清掃会社様の事業環境は、人件費高騰、採用難、高齢化でますます厳しくなっていますから、Whiz i アイリスエディション導入による人的依存減と採算性改善にもつながっていると思います。

Whiz-i
©IRIS OHYAMA / SoftBank Robotics

吉田 当社でこの事業を始めて約3年になります。当初はロボットを販売するという意識が強かったのですが、それだけでは導入効果はなかなか得られません。そこで清掃業界での経験豊かな人材を採用し、業界の知見やノウハウの蓄積に時間をかけてきました。それらをもとに、どうロボットを活用していけば、清掃業務の省人化やコスト削減を実現できるかを考え、お客さまごとにプロジェクトチームを組んで、経営層、現場管理、店舗運営の現場に対しそれぞれ最適な提案を心掛けてきました。

 たとえば御社の場合には、清掃業務の委託先企業様と実際の清掃業務の工程表を見直し、ロボットがどの時間に、どの部分の清掃を行うのが効果的なのかを検討し、提案いたしました。

エアコンのフィルターの目詰まり軽減など副次的な効果も

吉田 御社のような美観清掃への意識が高い会社の場合、心配はないのですが、コストがかかるということから、除塵消掃をやめてモップ消掃だけにしてしまっているところが増えてきています。清掃会社の方に聞くと、店舗等の消掃でいちばん気にしているのは除塵で、実は除塵清掃が清掃業務の7割を占めているそうです。

 人の目にはきれいに見えている床でも、除塵が十分でないと、相当な量の塵(ちり)がたまってしまいます。お試し導入で、Whiz i アイリスエディションを走らせ、紙パックにたまった塵の最を見て驚かれるお客さまが多くいらっしゃいます。Whiz i アイリスエディションによる消掃は、清掃品質においても効果が高く、実証実験結果ではウイルスの温床となる塵や埃(ほこり)を約2分の1まで低減することができています(ATP拭き取り検査)。

ATP拭き取り検査
出所:ソフトバンクロボティクス(株)による従来製品を用いての実証実験結果

人とWhiz iアイリスエディションの清掃は何が違うか

 また、「エアコンのフィルターの目詰まりがなくなった」「冷ケースのハニカムのクリーニングが不要になった」「商品棚に積もる埃が減り商品棚清掃の時問が短縮できた」といった副次的な効果を教えていただく機会も増えました。

 ところで御社では、清掃以外の業務にもWhiz i アイリスエディションを活用されていると伺っております。

店舗にて走行しているWhiz i アイリスエディション

橋本 このところ、Whiz i アイリスエディションは人や障害物を避けて、安全・安心な走行ができるということが、お客さまの間にもよく知られるようになってきました。POPと一緒に販促トレイを上部に取り付け、新商品を乗せて、音声メッセージを流しながら店内を走行させると、お子さんたちが後ろをついて回ってくれるので、販促効果も期待できると考えています。

 店舗スタッフにWhiz i アイリスエディションについての印象を聞いてみることがありますが、ポジティブな話しか上がってきません。「Whiz i アイリスエディションの導入は間違いなく店舗へのロイヤルティアップにつながっている」という声も店長から届いています。

吉田 われわれにとっても心強いお話です。

充電しながらスタンバイ中
充電しながらスタンバイ中

スタートアップ企業を子会社化、ロボットのハードとソフトを内製化

橋本 当社のロボットの導人台数はかなり多い方だとは思いますが、御社全体での状況はいかがですか。

吉田 国内中心に4000社、世界出荷販売台数は2万台という規模になっています。そのうち8割がDX清掃ロボットです。とくにこの7~9月にかけての3カ月間で数千台の新規契約が入りました。

 これだけの勢いで市場が拡大してくると、10年以上前のLED照明のときと同じように、競合メーカーの参入も増えてきています。しかしながら部品の在庫を含め、十分なアフターメンテナンスができる体制を組んでいるのは当社だけです。

橋本 そうした体制が整っていると、安心して導入計画を立てることもできますね。

吉田 今後、DX消掃ロボットのさらなる導入に関しての考えをお聞かせいただけますか。

橋本 今はドライ部分の消掃だけなので、ウエットな部分(洗浄)にも導入できればということと、とくに夜間に、警備のセンサーにかからずに、自律清掃を行い、仕事を終えたら自動でチャージしに戻っていく、ということができるようになれば、さらに業務の効率化を進めることができるのではないかと考えています。

吉田 当社では、2023年7月に東京大学情報システム工学研究室出身のロボットエンジニアが創業したロボット開発のスタートアップ企業をグループ会社化しました(シンクロボ)。

 これにより、当社グループとして、ロボットのハードとソフトすべての内製化が可能になり、新たな機能の追加や量産化のスピードが早まると考えています。御社の困り事の解決にご期待ください。

橋本 こちらこそ、今後ともよろしくお願いいたします。

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