コロナ後も強い生協宅配を軸にした事業間連携で、生協はこう変わる!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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競合サービスよりもコロナ後も利用定着

 コロナ禍において、宅配やまとめ買いニーズの高まりにより、その他小売業態を上回って業績を伸長させた生協。それゆえ、コロナ収束に伴う反動減がある程度予測されたが、実際の業績は高止まりの様相を見せている。

 日本生活協同組合連合会(東京都:以下、日本生協連)によると、全国65の主要地域生協の2022年度の総供給高(商品売上高に相当)は、対前年度比1.3%減の3兆233億円(推計値)。主力である宅配事業は同0.9%減の2兆945億円、また店舗事業も同0.7%減の9175億円と、ともに微減にとどまった。コロナ前の19年度との比較では順に13.7%増、2.2%増で、とくに宅配事業は2ケタ以上高い水準を維持している。

 もちろん、食品宅配は現代のニーズに即した成長市場だが、とくに生協宅配がコロナ禍で支持を広げたようだ。本特集で実施したレシートデータによる消費者調査でコロナ収束後の宅配利用の変化について聞くと、「変わらない」「増えた」の回答者割合が、生協ユーザーは90.5%で、ネットスーパーの82%を上回っている。生協宅配を利用する理由では、「安全・安心な商品」「商品が魅力的」など生協の独自商品を評価する回答が多く、こうした存在が利用定着につながっていると想定される。

コープこうべの店頭での宅配商品の受け取りサービス「めーむひろば」
成長を阻む複数の課題を生協は事業間連携によって乗り越えようとしている。
写真はコープこうべの店頭での宅配商品の受け取りサービス「めーむひろば」

 しかし、生協宅配がこの先も安泰かといえば決してそうではない。相次ぐ商品の値上げによる節約志向の高まりや、原料費やエネルギー代といったコスト増など、食品小売業界を取り巻く外部環境は厳しさを増しており、加えて今後の成長を阻む複数の壁に直面している。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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