コロナ後も強い生協宅配を軸にした事業間連携で、生協はこう変わる!

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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組織体制の抜本改革や地域生協横断での連携も

 事業間連携によって配送現場の人手不足への対応を図る生協もある。コープこうべ(兵庫県)は、店舗や、店頭での宅配商品の受け取り、移動店舗、夕食宅配などのさまざまな提供サービスを、宅配事業が軸となって束ねるような運用管理体制への移行を検討中で、これにより配送等の効率化も図っていきたいとしている。

 事業間連携を図るには、従来の縦割り組織からの脱却も必要だ。そうしたなか、ならコープ(奈良県)では、エリアごとに、宅配や店舗、その他の事業を管轄する「エリア制」を採用した。この体制のもと今後めざす事業連携の在り方を実践するモデル店として今年7月、奈良県平群町にある「コープたつたがわ」をリニューアルオープン。同店は、宅配事業の配送センターも併設しており、店舗を拠点に、宅配、店舗で購入した商品の配送、買物代行、夕食宅配など、さまざまな買物手段を提供し、組合員がその時の状況に応じて選べる利便性を提供する。

 各生協内での事業間連携にとどまらず、生協間の連携も進んでいる。たとえば、23年1~3月には、相次ぐ値上げにより高まる節約志向に応えるべく、全国の生協で「くらし応援全国キャンペーン」を実施。日常的に購入されている1000品目超の商品を、共同仕入れによるスケールメリットも生かして値下げしたもので、供給高を押し上げる大きな効果が出ている。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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