コロナ後も強い生協宅配を軸にした事業間連携で、生協はこう変わる!
組合員データを連携し、総合的な提案力を向上
これらの課題を前に、生協はすでに対策に動いている。なかでも力を注ぐのが、宅配事業と、店舗をはじめとしたその他事業との連携だ。その真意について、日本生協連の藤井喜継代表理事事業担当専務は「週1回の宅配モデルを大前提としたうえで、宅配とともに店舗や移動販売、ネットスーパーなど、さまざまな買物手段を提供し、総合的な利便性を発揮することで、生協の存在価値を高めていきたい」と述べている。
この事業間連携は、これからの成長施策の柱として生協がかつてより推進してきたものだ。しかしここにきて、とくに物流現場の人手不足や各種コスト増が収益を圧迫し、事業構造改革が急務となっており、先進的な生協を中心にさまざまな具体策が実行されつつある。
では、実際にどのような事業間連携が進んでいるのか。先駆的な施策で全国の生協から注目を集めるコープさっぽろ(北海道)では今年3月、「新ポイント・ステージ制度」を導入した。宅配や店舗のほか、電気や共済など、その他サービス全般でも共通のポイントの取得・利用を可能にしたもので、3段階のステージ分類によって、利用額が多いほど組合員は特典を得られる。独自のスマホアプリで、現在の利用状況やポイント取得状況を気軽にチェックできるようにしたことも奏功し、「せっかくなら生協を使おう」とサービスの相互利用が促され、全体の供給高を押し上げる効果が出ている。
こうした異なる事業間で組合員データを連携させる試みは、これまでコープさっぽろをはじめごく一部の生協にとどまっていたが、生協最大の連合会であるコープデリ連合会(埼玉県)も動き出した。現在は別々に管理している事業ごとの組合員データを、25年度を目標に一元化する計画を明らかにしている。これによりこれまで以上に個々の組合員に沿った商品やサービスを提案し、供給高を伸ばしていきたい考えだ。