コープこうべ、低収益の店舗から宅配事業へと事業構造を移行

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総事業高(営業収益に相当)では全国3番目で、宅配と店舗を両軸に事業展開してきた生活協同組合コープこうべ(兵庫県/岩山利久組合長理事:以下、コープこうべ)。同生協は現在、宅配を主とした事業構造への転換を進めている。社会的にも注目を集める「物流の2024年問題」などにより配送現場の不足が課題となるなか、事業間連携の推進によって効率化を図り、成長を可能にしようとしている。

物流拠点を整備し冷凍弁当・総菜を拡充

 コープこうべの2022年度全体供給高(商品売上高に相当)は、対前年度比 1%減の2448億円※1、経常剰余金(経常利益に相当)は同38%減の31億円だった。事業別の供給高は、宅配(電力事業を含む)が同1.6%減の1282億円、店舗が同0.2%減の1141億円といずれも減少しているものの、コロナ禍以前の19年度比ではいずれも同7%増、同170億円増と高い利用水準を維持している。
※1:収益認識基準適用後の実績(店舗テナント供給高、供給時の付与ポイント、再エネ賦課金供給高を減算)

 23年度に入ってからもその傾向は続いている。宅配の供給高は前年度実績からほぼ横ばいだ。外出機会が増えたことによる利用件数の減少分を、商品価格の高騰による利用単価増が相殺している。一方の店舗事業は同2%増で推移する(既存店ベース)。これは商品価格高騰に加えて、既存店ベースで利用者数を同 100%と維持できたことが大きい。

コープこうべ
物流問題が課題となるなか、事業間連携によって効率化の可能性を探る

 21・22年度にスクラップ&ビルドによりオープンした3店舗も徐々に供給高を伸ばしている。

 コープこうべは全体供給高に占める店舗事業の割合が約5割と、全国的に見ても高いのが特徴だ。しかし、宅配事業が店舗事業の赤字をカバーする構図が続いていることや、事業エリアの全組合員によりよいサービスを提供することを理由に、宅配を主とした事業構造への移行を図っている。

 こうした方針のもと22年度は、

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ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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